私の人生って何なの?遺産の大部分〈6,750万円〉が姉の元に…泊まり込みで介護をし続けた60代女性。98歳母が作成した遺言書を思わず二度見したワケ【相続の専門家が解説】

私の人生って何なの?遺産の大部分〈6,750万円〉が姉の元に…泊まり込みで介護をし続けた60代女性。98歳母が作成した遺言書を思わず二度見したワケ【相続の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

被相続人(親)の財産の維持・増加に貢献した人が、遺産分割時にその貢献分を考慮して多く遺産を受け取ることができる「寄与分」という制度。しかしながら、実際には介護をしていた相続人が報われないケースも少なくありません。そこで本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が具体的な事例をまじえて、公平な相続を実現するために活用すべき「公正証書遺言」と「代償金」について解説します。

不動産は引き受けて、代償金で払いだす方法

公正証書遺言は、新たに作り直すことができるので、母親の意思確認ができるうちに、作り直すようにアドバイスしました。久美子さんもそうしたいと母親の意思を再確認して準備するということです。

 

内容的には、不動産は久美子さんが引き受け、姉に遺留分相当の代償金を払うというパターンです。母親の預金が少ない状況では、アパートか、実家のいずれかを売却して現金を捻出することになりますが、そうした実務を考えても、介護を担当して遺言執行者になる久美子さんが不動産を引き受けていくことが現実的でしょう。

公正証書遺言の作り直し手順

1. 現在の遺言の確認

まず、現在の公正証書遺言の内容を確認し、どの部分を変更・修正する必要があるかを明確にします。

 

2. 新しい遺言の内容を決める

変更点を整理し、新しい遺言の内容を考えます。特に以下の点をチェックしましょう。

 

  • 財産の分配:新たに追加・削除する財産がないか
  • 相続人の変更:相続人の状況(死亡・疎遠・関係の変化など)に応じて見直し
  • 付言事項の変更:遺言者の意向が変わっていないか

 

3. 公証役場で新しい遺言を作成する

新しい遺言を作成するには、再び公証役場で手続きを行います。

 

必要なもの

 

  • 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
  • 財産に関する資料(登記簿謄本・預貯金の残高証明など)
  • 証人2名(公証役場で手配も可能)

 

新しい公正証書遺言を作成すれば、古い遺言は無効となります。

 

4. 以前の遺言の処理

古い公正証書遺言を破棄する必要はありませんが、新しい遺言があることを家族に伝え、遺言書の保管場所も明確にしておきましょう。

 

注意点

 

  • 新しい遺言があることを家族や相続人に伝えておく(トラブル回避のため)
  • 遺言執行者の指定を見直す(以前の執行者が不適切になっている可能性がある)
  • 生前贈与や信託との兼ね合いも確認(相続税対策として他の手法も活用できるか検討)

 

もし内容の見直しに不安がある場合は、専門家(相続実務士・税理士・司法書士など)に相談すると、最適な形で作成できます。

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