トランプ米大統領による高関税政策、「フィリピン」最大18.9億ドルの輸出損失に直面か?

2月17日週「最新・フィリピン」ニュース

トランプ米大統領による高関税政策、「フィリピン」最大18.9億ドルの輸出損失に直面か?
写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターの家村均氏がフィリピンの現況を解説するフィリピンレポート。今週はトランプ米国大統領による高関税政策の発動に伴うフィリピンへの影響やフィリピンの政策課題について解説していきます。

米トランプ大統領に翻弄…フィリピンがすべきこと

また、フィリピンは米国との間で一般特恵関税制度(GSP)の再承認交渉を強化する必要があるとされています。GSPが再承認されれば、対象となる製品は米国の新たな関税措置から保護されることになります。

 

国内産業の強化も重要な課題であり、「タタック・ピノイ(Tatak Pinoy)」法の活用も求められています。この法律は、フィリピンの製品競争力を強化し、グローバルバリューチェーンにおける地位向上を目指すものです。戦略的な産業政策を策定し、国内企業がより高度で多様な製品やサービスを提供できるようにすることが求められています。

 

さらに、カナダや欧州、中東諸国との自由貿易協定(FTA)を推進することもフィリピン経済の安定に寄与すると考えられています。米国の関税政策に対応するために、フィリピンは鉱物資源の輸出強化にも注力するべきであると指摘されています。特に、米国が必要とするニッケルなどの鉱物資源は、関税の影響を受けにくい可能性があります。

 

フィリピンが直面するこれらの課題に対処するためには、産業政策の強化が必要です。製造業の発展に向けた国家戦略の策定が急務であり、特にニッケル加工工場や再生可能エネルギー技術の製造施設への投資が重要視されています。

 

フィリピンは、トランプ大統領復帰を見据え、米国との自由貿易協定(FTA)締結を目指しています。ただし、包括的なFTAではなく、特定の分野に焦点を当てた「分野別FTA」となる可能性が高いです。フィリピンの駐米大使は、米比協会の記者会見で、FTAの実現には可能性があるものの、全体を網羅するFTAではなく、特定の分野に限定した形になるとの考えを示しました。

 

ロムアルデス大使によると、トランプ政権時代にFTAに関する協議が行われていましたが、その後中断されました。今回の機会を活かし、交渉を再開したいと考えています。特に、前商務長官ウィルバー・ロス氏との話し合いのなかで、重要鉱物の分野に注力するべきだとの助言を受けたと述べました。

 

重要鉱物分野を優先する理由として、フィリピンと米国が相互に利益を得られることが挙げられます。ニッケルなどの鉱物資源はフィリピンの天然資源であり、国内で加工を進めることで、よりよい価格で取引できる可能性があります。

 

現在、フィリピンのニッケル輸出の90%以上が中国向けであり、中国が価格決定権を握っています。この状況を改善するためにも、米国との重要鉱物協定(Critical Minerals Agreement, CMA)の締結を目指す方針です。

 

フィリピンは世界最大のニッケル供給国であり、世界の供給量の4分の1以上を占めています。その輸出先の98%以上が中国向けで、日本向けはわずか1%にとどまっています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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