過疎地域では「老老介護」が当たり前
過疎地域では、若者の流出と医療従事者の減少により、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が当たり前になっています。要介護5の寝たきりの夫を要介護2の妻が介護する、あるいは重度の認知症の妻を初期の認知症の夫が介護するといったケースもよくあります。
本来なら毎日でもリハビリしなければならない状態の高齢者が、近くに医療機関がないことから、週に数回しか利用できず、重症化してしまうことも決して少なくありません。実際に、上郡町でも脳卒中の後遺症で麻痺が残った人が、リハビリが十分受けられなかったことにより関節が硬直し、歩行が困難になるといったケースがありました。
入院や介護が必要になった場合、地元に利用できる施設がないため、本人や家族が希望していないにもかかわらず、自宅から遠く離れた施設に入るしかなく、高齢者が、愛する家族に二度と会えないまま亡くなることも珍しくありません。
私はこうした上郡町の現状に衝撃を受けました。それまでは看護師として、兵庫県のなかでも比較的都市部で働いていたので、ここまで過疎地域の状況が厳しくなっているとは思ってもいなかったのです。仲間たちも同じ思いを抱き、創業塾を縁に上郡町で訪問看護サービスを提供する会社を立ち上げることにしたのです。
安田 由加理
代表取締役社長・正看護師
株式会社一期一会
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