少子高齢化が加速しつづける日本。特に過疎地域では若者の流出と医療従事者の減少に伴い、老老介護が当たり前となっているのが現状です。この問題は少子高齢化が進めば進むほど広がっていくはずです。本記事では、居宅介護支援や訪問看護を提供する(株)一期一会の代表であり看護師の安田由加理氏による著書『過疎地域の福祉革命』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋・再編集し解説します。
過疎地域とはどんな場所?
私は小さな過疎の町で訪問看護事業を営んでいます。もともと、急性期の病院で看護師としての経験を積んできましたが、子どもを出産してからは子育てと仕事を両立するため、夜勤がないデイサービスや通所リハビリなどの介護保険サービスを提供する事業所で働くようになりました。
病院から患者や利用者の生活の場へと働く環境が変わったことで、私は地域医療や介護の研修、勉強会などに参加するようになりました。地域医療や介護を学ぶうちに、やがて医療・福祉に携わる仲間たちと、起業を考えるようになりました。その仲間の一人であるケアマネジャーが兵庫県赤穂郡上郡町という小さな過疎の町の出身だったのです。
上郡町は、過疎化が進み将来的には人口減少により消滅する恐れが高い「消滅可能性自治体」の一つとされています。令和2年度の高齢化率は40%を超え、全国平均の28.8%を大きく上回っています。年々子どもの数も減少し、それに伴って学校の統廃合も進んでいました。
上郡町は地域の復興のため創業塾を開催し、他の地域から移住して起業する人たちの支援をしていました。私はその創業塾の話を聞きつけ、上郡町の出身であった仲間のケアマネジャーを誘って参加することにしたのです。
塾で学ぶために上郡町に通ううちに、私は過疎地域における福祉サービスの実態についても問題意識を強くもつようになっていきました。
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株式会社一期一会
看護師
高校卒業後に、早く自立して生活したいという思いが強いことから、看護師である実母の影響もあり看護専門学校へ入学。1992年4月に正看護師の資格を取得し、京都府済生会病院、姫路赤十字病院にて外科、脳外科、心臓血管外科で勤務。その後、子育てのために一時仕事を離れる。2002年5月より石橋内科・広畑センチュリー病院にて通所リハビリテーション、通所介護に勤務。そこで初めて介護保険サービスに関わり、医療現場と在宅医療の根本的な考えの違いを知り、在宅介護の面白さに気づく。地域での認知症啓発事業にさらに携わりたいと思い、2017年1月より兵庫県たつの市役所の地域包括支援課に勤務、2019年12月3日、株式会社一期一会を設立し現在に至る。
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連載超高齢社会の過疎地域で「誰も取り残さない」ケア