重度「認知症の妻」を初期「認知症の夫」が介護…過疎地域で「あたり前に」目にする“老老介護”の実態【専門家が解説】

重度「認知症の妻」を初期「認知症の夫」が介護…過疎地域で「あたり前に」目にする“老老介護”の実態【専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

少子高齢化が加速しつづける日本。特に過疎地域では若者の流出と医療従事者の減少に伴い、老老介護が当たり前となっているのが現状です。この問題は少子高齢化が進めば進むほど広がっていくはずです。本記事では、居宅介護支援や訪問看護を提供する(株)一期一会の代表であり看護師の安田由加理氏による著書『過疎地域の福祉革命』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部を抜粋・再編集し解説します。

過疎地域の現状は未来の日本の縮図

「令和4年度版 過疎対策の現況」「過疎地域の年齢階層別人口構成比の推移」によると、昭和35(1960)年から令和2(2020)年までの間に、過疎地域では65歳以上の高齢者階層の構成比が6.7%から39.7%へと上昇し、全国平均(5.7%から28.6%)を上回る速さで高齢化しています。

 

年を取れば慢性疾患や加齢に伴う健康問題を抱える人は増えます。「東京都健康長寿医療センター」の調査(2019年)によると、都内75歳以上の後期高齢者の約8割が、2つ以上の慢性疾患を抱えています。なかでも高血圧や脂質異常症、糖尿病、心疾患、変形性関節症などは高齢者によく見られる慢性的な病気で、定期的な治療やリハビリテーションが不可欠です。

 

しかし、こうした医療や介護を受けられる施設が不足しているため、多くの住民は遠くの病院や施設まで通わざるを得ません。これでは定期的な通院も難しく、治療が中断されて病状が悪化してしまうケースも少なくないのです。

 

都市部では介護が必要になっても、住み慣れた家で医療や介護を受けられるサービスが充実しています。しかし、過疎地域では在宅医療や訪問看護・介護といった支援が整っておらず、多くの人が必要なサービスが受けられないのが実情です。

 

過疎地域では住民の家が点在し、隣の家まで1㎞以上離れていることも少なくありません。訪問サービスを提供するには移動に時間がかかり、都市部に比べて効率が悪くなります。利用者も少なく採算が取れないため、このような場所で介護サービスを提供しようと考える事業者があまりいないのです。

 

介護が必要になった高齢者がサービスを利用するには、住み慣れた土地を離れ、病院や介護施設がある都市部へ転居したり、遠くの介護施設に入居したりせざるを得ません。こうした環境の変化は大きな負担となり、心身の安定や生活の質(QOL)が損なわれることにつながりかねません。

 

注目のセミナー情報

【国内不動産】4月26日(土)開催
【反響多数!第2回】確定申告後こそ見直し時!
リアルなシミュレーションが明かす、わずか5年で1,200万円のキャッシュを残す
「短期」減価償却不動産の節税戦略

 

​​【資産運用】5月10日(土)開催
金価格が上昇を続ける今がチャンス!
「地金型コイン」で始める至極のゴールド投資

次ページ「過疎地域」とみなされる条件

本連載は、2024年12月24日に刊行された安田由加理氏の著書『過疎地域の福祉革命』(幻冬舎メディアコンサルティング)から一部抜粋・再編集したものです。

過疎地域の福祉革命

過疎地域の福祉革命

安田 由加理

幻冬舎メディアコンサルティング

包括ケアで地域をまるごと支える 過疎の町で小さな会社が実現した 誰も取り残さない地域包括ケアのかたちとは 2022年の厚生労働省の調査によると、いわゆる「無医地区」は全国で557カ所にのぼり、12万人以上が医療への…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録