(※写真はイメージです/PIXTA)

「宗教法人には税金が課せられない」という話を聞いたことがある人は多いでしょう。お布施やお賽銭など、宗教法人の収益については不透明な部分も多く、そのため「あのお寺(神社)は非課税だから儲かっている!」などという“風の噂”を耳にすることも……。では、僧侶や宮司の“稼ぎ”が垣間見える「車」は、税法上どのような扱いとなるのか、税理士法人松本の代表税理士である松本崇宏氏が解説します。

宗教法人の税金優遇措置

「宗教法人は非課税だ」といわれますが、これは“半分本当”で“半分嘘”です。

 

宗教法人が行う宗教活動は確かに非課税ですが、収益事業に関しては課税されていますので、宗教法人であっても税金を納める場合があります。

 

一般法人は事業で得たすべての所得が税申告の対象となり、法人税や所得税、地方税や消費税を納めます。

 

しかし宗教法人の場合は収益事業に関する所得のみが課税されるという、税金の優遇措置があります。

 

宗教活動は営利目的ではないため、税金が課せられません。

宗教法人は車が経費になるのか

では宗教法人が車を購入する際には、経費として計上できるのでしょうか。

 

一般企業であれば社用車としての経費になりますが、宗教法人だとどう処理していくべきなのか考えてみましょう。

 

収益活動であれば経費になる

宗教法人でも収益事業に関するものには税金がかかりますので、収益活動のために使用する車であれば経費になります。

 

宗教法人の申告漏れで争点になるのが、その経費は宗教活動のためのものなのか、収益事業のためのものなのか、はたまた私用目的なのかという点です。

 

収益事業と宗教活動のボーダーラインが難しいものがあり、宗教法人側の主張と税務署の主張が食い違う場合があります。

 

堂々と「収益事業に必要なための車である」といえるものであれば、経費として計上できるでしょう。

 

お坊さんの私用車にも課税されている

お坊さんや住職、宮司や職員は、給与をもらって生活しています。

 

宗教法人に仕える立場だからといって給与がないわけではありませんし、給与を受け取っている以上は源泉所得税といった税金を納めています。

 

一般法人も会社の収益と個人の給与は別であるように、宗教法人も職員の給与は別で考えます。

 

そのため、お坊さんがプライベートで車を購入している場合は、その財源は税金を引かれた後の手取り金額からですので、一般の方と同じように税金を納めているといえるでしょう。

 

「宗教法人は非課税だから儲かっている! だからベンツに乗っているのか!」などと誤解を招く場合がありますが、非課税で儲かっているから高級車に乗っているという訳ではありません。

 

宗教法人に仕える人にもプライベートがあり、自分の給与で購入した好きな車に乗っているだけです。

宗教法人の「減価償却」の仕組み

一般法人も宗教法人も、固定資産を購入したら減価償却を行います。

 

新車の法定耐用年数は普通車が6年、軽自動車が4年となっていますので、正しく処理していかなければいけません。

 

車を経費として減価償却すると所得金額が少なくなり、結果的に税金を安く抑えられるようになります。

 

次ページ宗教法人の「減価償却」の仕組みとは?

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