税務調査が芋づる式に行われる背景
税務調査が芋づる式に行われるというのは、どういうことなのでしょうか。
税務調査における芋づる式とは
芋掘りをしたことがありますか? 芋は、1本のつるにたくさんの芋がなるため、つるをたどると、次々と芋が見つかります。同じように、1つのことから次々に関連した出来事が発覚することを芋づる式と表現します。
税務調査に当てはめると、1つの法人や個人事業主に税務調査が入ったことで、関連する取引先にも調査が及び、次々に不正が見つかることがあります。このような場合「芋づる式に税務調査が実施された」、「芋づる式に不正が発覚した」ということができるでしょう。
芋づる式に税務調査が実施される理由
税務調査とは、納税の義務がある納税者が正しく申告し、正しい額の納税を行っているかを確認することです。事業を営んでいる場合、納税額は所得額によって変わりますが、所得額は売上から経費を差し引くことで算出します。
そのため、申告内容が正しいものであるかをチェックするためには、売上の金額が正しいものであるか、売上がすべて計上されているか、経費を過剰に計上していないかを確認する必要があるのです。
売上が発生する場合、必ず商品やサービスを提供した相手、つまり取引相手が存在するはずです。税務調査の対象となった納税者のもとに、申告された売上額を証明する十分な書類や入金の履歴などが残っていない場合、取引相手を調査し、取引内容をチェックします。この調査を反面調査といいます。
反面調査の目的は、税務調査の対象となっている納税者の申告内容を確認することです。しかし、反面調査を実施すると、取引先にも不審な状況が発覚し、本格的な調査が実施され、芋づる式に不正が発覚するケースがあります。
税務調査で芋づる式に無申告が発覚する理由
税務調査が実施されることで、芋づる式に無申告が発覚するケースも少なくありません。税務調査を実施した場合、売上と同様に、経費として計上されている支出もチェックの対象となります。
法人や個人事業主が、取引先の法人や個人事業主に対して特定の支払いを行った場合に、1年間に支払った報酬や料金の額と支払った相手の情報を税務署に報告する義務があります。この報告書類を「支払調書」といいます。
支払調書には、支払いを受ける法人や個人事業主の法人番号やマイナンバー、商号、氏名、住所、報酬や料金の区分、支払った金額、そして源泉徴収税額が記載されます。支払調書をたどっていくと、確定申告が必要であるにもかかわらず、確定申告をしていない無申告状態の納税者にたどり着きます。無申告状態が疑われれば、当然、税務調査が実施されることになるでしょう。
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