非課税のはずが…Cさんに課された「まさかの贈与税額」
そんなある日のこと。税務署からAさんのもとに連絡がありました。話を聞くと、職員は次のように言います。
「残念ですが、A様の贈与は住宅資金贈与の要件に該当しません。贈与税210万円を納付する必要があります」
Aさんは税務署から告げられたまさかの事実に頭の整理が追いつきません。
「な、なにを言っているんだ! 愛する娘のために貯めた金だぞ!? なんでお前らなんぞに渡さなきゃならんのだ!」
Aさんの悲鳴もむなしく、娘に多額の贈与税を払わせるハメになってしまいました。
「住宅資金の贈与」が認められなかったワケ
しばらくのあいだ現実を受け止めきれないAさんでしたが、実は完全に自業自得でした。というのも、贈与した日から1年以上経過していたため、Aさんは「贈与税の申告」をすっかり忘れていたのです。
「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」を受ける場合、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日のあいだに贈与税の申告をしなければ、適用を受けることができません。
A夫妻はその申告を怠ったことから、住宅取得等資金ではなく通常の「暦年贈与」であると判断され、贈与税の課税対象となってしまったのでした。
「住宅資金の贈与」で注意すべき「4つ」のルール
基礎控除が110万円であるところ、最大1,000万円まで非課税となる「住宅取得等資金の贈与」を利用したいと考える人は多いです。しかし、要件がかなり細かく設定されているため、いざ贈与した結果「住宅取得等資金の贈与とは認められない」とはじかれてしまうケースが散見されます。
では、具体的にどのような要件に注意する必要があるのでしょうか?
1.贈与を受けられるのは「直系卑属」のみ
まず、贈与を受けられるのは「贈与者(贈与を行う人物)の直系卑属のみ」です。今回のケースがでいえばAさんが贈与できるのは子や孫(養子を含む)に限られ、Cさんの夫やAさんの甥・姪には贈与を行うことができません。
2.受贈者の年齢や所得
また、受贈者(贈与を受ける側)の年齢や所得についても規定があり、贈与を受けた年において、18歳以上であり、その年の合計所得が2,000万円以下である必要があります。ただし、建てる家の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下となります。
子どもが都心部に住んでいる場合「マンション価格が高騰しているから」などと言って、50㎡未満の住宅購入を援助する場合も多いでしょう。こうした際、受贈者である子どもに給与以外の所得がある場合や、前の家の売却などで臨時的な所得がある場合には注意が必要です。
3.床面積
さらに、建てる家の床面積は「40㎡以上240㎡以下」という規制があります。このほか、その家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用でなければいけません。
たとえば、受贈者が建てる家が「店舗兼用住宅」の場合、店舗用に使う面積を大きくすると居住部分が少なくなってしまい、適用を受けることができないのです。
4.贈与と入居の時期
最後に、贈与と入居の時期にも注意が必要です。
「贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得資金贈与の全額を充てて住宅用の家屋を新築等すること」と規定されているため、たとえば12月31日に慌てて贈与してしまうと、受贈者は翌年の3月15日までに入居しなければなりません。入居できない場合、適用が受けられなくなります。
また贈与は、住宅購入前に行わなければなりません。購入後に住宅ロ-ンや生活費の穴埋めに贈与されたものは適用の対象外となります。
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