(※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社による寄稿です。2025年1月のマーケットを振り返り、「1. 概観、2. 景気動向、3. 金融政策、4. 債券、5. 企業業績と株式、6. 為替、7. リート、8. まとめ」のそれぞれについて解説します。

8.まとめ

【債券】

●米国の長期金利は、トランプ政権が行うであろう経済政策が市場参加者に金利上昇リスクを意識させるため、足元の上昇した水準に高止まりする展開を予想します。FRBの利下げは継続される見通しですが、長期債金利には期間プレミアムが求められる公算が大きいでしょう。

 

●欧州では、ECBが追加利下げを継続すると想定しますが、米長期金利の高止まりとユーロ安への懸念が、長期金利の低下を小幅にするでしょう。

 

●日本の長期金利は、日銀が金融政策の正常化路線を維持しており、追加利上げ期待を背景に上昇すると予想します。

 

【株式】

●米国株式市場は、AI関連銘柄などハイテク銘柄を中心に優良銘柄の業績が拡大しています。個別優良株に期待される業績は非常に高いものになっています。大手ハイテク株のなかには、増益を達成しても株価が下落する銘柄もありますが、増益トレンドは維持しており株価の調整は短期間にとどまると予想します。米国内の個人消費が堅調に推移すれば、好業績の大型優良株をけん引役に米国株は取引レンジを切り上げる展開を予想します。

 

●日本株式市場は、経済政策や為替相場を眺めながらの、レンジ相場を予想します。日銀の利上げと想定される円高に対する懸念が上値を抑える一方で、夏の参院選に向け各党が支持率を上げるために経済対策の規模を拡大方向に移行するだろう、との期待が相場を下支えするとみています。欧米の金融緩和が景気の底上げに寄与しはじめれば、輸出関連株を中心に日本株にも恩恵が及ぶと見ています。

 

【為替】

●円の対米ドルレートは、緩やかに上昇すると予想します。FRBは利下げを継続し、日銀は利上げが予想されることから、金利差が縮小し円の上昇要因になるとみています。日米の長期金利差が縮小していることは円高要因ですが、日本の経常収支の構造変化は円安要因となっているとみます。

 

●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げ期待が、日銀の追加利上げ期待より強く意識され、円高方向で推移する見込みです。

 

●円の対豪ドルレートは、米国が緩やかな利下げに動きにRBAも追随するとみられるなか、日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇すると見ています。

 

【リート】

●グローバルリート市場は、米国の金利動向に左右される不安定な展開が想定されます。欧州、アジアのリート市場も、各地の金利が米国の長期金利の影響を受けていると見られることから、不安定な動きを予想します。

 

●少し長い目で見ると、米国リート市場では、データーセンターとヘルスケアセクターのシニアハウジングの高成長が続いています。オフィスリートはバリュエーションが相対的に割安となっており、ファンダメンタルズの改善が待たれます。また、賃貸住宅セクターは、住宅ローン金利の高止まりを背景とする賃貸住宅需要の増加やデフェンシブ性が評価される可能性が出ています。欧州、アジア・オセアニアでは、景気の回復や政策金利の引き下げが期待できるため緩やかな上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善が見込まれますが、日銀の利上げ懸念が大きく、住宅関連は低調な取引が続く見通しです。

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2025年1月のマーケットの振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】』を参照)。

 

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
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