比較検討している顧客の立場に立つ
分譲住宅の場合、初回の接客ですぐ購入に至るということはほとんどありません。即決することもあるという印象を持つかもしれませんが、即決したように見える顧客は水面下で多くの比較検討を済ませているのです。
顧客の立場で考えてみれば、一生に一度の高額な買い物をたった一回で決められるわけがありません。だからこそ、1回目は条件や予算の整理、顧客に住宅に関する知識をつけてもらうことに注力し、ある程度知識をつけてもらってから2回目、3回目で住宅を紹介するくらいの進め方で良いのです。
また、1回目でじっくり顧客と話し合うことによって、セールスとの間に信頼関係も生まれます。この信頼関係を基盤にできるからこそ、スムーズな家探しが実現するのです。
顧客が他の住宅会社で複数の物件を内見しすぎて、住宅を決めきれず「買えないルート」に迷い込みそうになっていたら、セールスが軌道修正してあげる必要があります。正しい住宅購入までの道筋を示しながら、次の約束を取り付けて、きちんと住宅を決め切ることができるルートへ戻してあげます。
顧客に予算以上の物件をあちらこちらと見せすぎてしまうと、少しでもランクが低い物件を見たときに驚きがなくなり、テンションが上がらなくなってしまいます。テンションが上がらなくなるということは、顧客自身の所有欲を刺激できないということになります。
良い物件には所有欲が湧くものです。しかし、あまりにも多く見すぎると食傷状態になってしまいます。今までより良い物件、良い立地を求めてしまうのです。かといって良い物件は予算オーバーで手が出ません。そんな状態の顧客が、予算内に収まる住宅を妥協して買ったとしても、すてきな購買体験にはなりません。
また、予算オーバーの物件を無理やり顧客に買わせても、ローン返済の段階で顧客の首を絞めることにつながり、最終的に企業への印象は劣悪になります。どちらに転んでもプラスにはなりません。
そうならないよう、一定の筋道で物件を案内し、気持ちよく購入してもらうことが肝心なのです。セールスには、顧客の立場に立ち、適切な住宅選びをサポートする役割が求められているのです。
