「利便性が高く、広くて静かな家」を求める顧客にはどう対応する?分譲セールスに求められる「分譲セールスリテラシー」とは?

「利便性が高く、広くて静かな家」を求める顧客にはどう対応する?分譲セールスに求められる「分譲セールスリテラシー」とは?
(※写真はイメージです/PIXTA)

顧客にとって「よい物件」を紹介することができれば購入に一歩近づきます。しかし本当によい物件とはなにでしょうか?顧客の予算や条件を正確に把握し、物件を絞り込んでいくことは簡単ではありません。本稿では、「株式会社戸建分譲総研」代表取締役・奥村友裕氏の著書『分譲住宅ブランディング戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、実際に顧客の住宅を選定していく過程について詳しく解説します。

顧客の予算や希望を正確に把握する

したがって、物件を適当に紹介して、顧客があわよくば住宅を買ってくれるのではと考えるべきではありません。顧客の年収や、現実的に可能な月々の返済額の予算などを聞いたうえで、そこに合致しない物件は、自社がどれだけ売りたいと思っていたとしても、紹介すべきではないのです。

 

言い換えれば、住宅セールスの際には、顧客の予算を正しく算出することが売れるセールスのスタートラインであるともいえます。その際、顧客自身が書いたアンケートの情報だけをうのみにしてはいけません。顧客は、少しでも安く買いたいからと低めに言うかもしれませんし、虚栄心から高めに伝えるかもしれません。

 

また、自分たちの予算を正確に計算できていないケースが少なくありません。面と向かって、実際の年収、借金の有無、借入可能額、金利を踏まえた月々のローン返済額など、予算面の情報をきちんと明らかにした状態で住宅探しを進めるべきです。そのためには、セールスは顧客の経済面の情報をできるだけ早期に、細かく把握するスキルが求められるのです。

 

例えば、4,000万円くらいの家が欲しいと希望する顧客に、好条件な物件だと5,000万円や6,000万円の住宅をすすめるようなセールスは完全にNGです。そのような不誠実な対応は避けなければなりません。

 

今はSNSで情報が拡散される時代です。セールスの口車に乗せられて、無理な金額の住宅を購入したら、とても後悔しているなどのクレームを住宅情報の口コミサイトなどに投稿されれば、「この企業は顧客に優しくない不当な企業だ」と、企業の信頼は地に落ちてしまいます。

 

そうしたダメージを受けないためには、担当者に求められるのは分譲セールスのスキルのみならず、倫理観をも含めた「分譲セールスリテラシー」なのです。顧客の予算や希望を正確に把握し、それに合致する物件を誠実に提案することが、住宅セールスにおいて最も重要な姿勢だといえます。

 

顧客の人生設計に寄り添い、無理のない範囲で最適な住宅を見つけ出すことこそ、セールスに求められる役割なのです。そうすることで、顧客との信頼関係を築き、長期的な顧客満足度の向上につなげることができます。企業の評判を守り、持続的な成長を実現するためにも、セールスには高いリテラシーと倫理観が不可欠なのです。

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※本連載は、奥村友裕氏による書籍『分譲住宅ブランディング戦略』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋・再編集したものです。

分譲住宅ブランディング戦略

分譲住宅ブランディング戦略

奥村 友裕

幻冬舎メディアコンサルティング

デザイン力・営業力・マーケティング力を身に付け 大手メーカーに負けない独自ブランドを確立する! 我が国の新設住宅着工戸数は、1991年度の167万戸をピークに下降の一途をたどり、2022年度には86万戸に減少し、2040年度…

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