注文から分譲へ……大手ハウスメーカーの本格参入
そのようななか、注文住宅会社の分譲住宅業への参入が相次いでいます。とりわけ大手注文ハウスメーカー(S社やD社)は、注文住宅で培った技術力やデザイン力、販売ノウハウなどを用いながら、分譲住宅の展開を強化しています。
大手注文ハウスメーカーの多くが分譲住宅市場に参入したことで、競争が激化しています。既存の中小の分譲住宅メーカーにとってはたまったものではありません。
新たに分譲住宅市場に参入してきた勢力は、分譲住宅事業に特化した企業とは販売スタイルや考え方が異なります。新規参入勢力の主なやり方をA型・B型・C型と分けて説明してみます。
まずA型です。これは大手注文ハウスメーカーの分譲住宅販売スタイルです。元々注文住宅を主軸にしているため、ターゲット顧客はあくまで注文住宅が買えなくて分譲住宅を買わざるを得ない層です。
その層に注文ハウスメーカーの作る分譲住宅だとうたい、ピンポイントでアプローチし、注文住宅のデザインや様式のモデリングにはめていきます。言い換えれば、大量生産・大量供給するというよりは、注文住宅購入希望者から振り落とされた層をすくい上げるための別プランを提供しているというイメージです。
大手注文住宅メーカーのクオリティやネームバリューは保ちながらも、注文住宅にはない手頃さを売りにしているのです。
一般的な分譲住宅より、内装や間取りの自由度が高いのがB型です。いわゆるミドル価格帯の顧客をターゲットとした事業で、大手ではなく主要都市にある中級ハウスメーカーに見られるケースです。
これらのメーカーは分譲住宅を専門とした企業ですが、内装や間取りの一部に自由設計可能なゾーンを設けています。これは注文住宅ほどの商品企画力はないけれど、顧客に付加価値を提供したい、こだわりを持ちたい顧客をターゲットにしたいという意味で取り入れています。
しかし、自由設計を取り入れすぎると、打ち合わせの回数が増えるため、工期が延び、販売スピードが落ちるというデメリットがあります。また、比例してコストも多くかかります。
こうしたセミオーダー方式は、今後ますます住宅価格が高騰していくと割高感が強くなるのは間違いありません。
