(※写真はイメージです/PIXTA)

資産をもつ富裕層の生活や価値観が気になる方も多いかもしれません。彼らはみだりに金銭を使うのではなく、自分の価値観に沿って必要なものにお金を使います。具体的にはどのような買い物を好むのでしょうか。本記事では、田中渓氏の著書『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)より一部抜粋・再編集し、富裕層の価値観や生活の実態について詳しく解説します。

「お金持ち=三ツ星レストランの常連」とは限らない

「富裕層は毎日のように高級店で贅沢な食事をしているのか?」という質問も受けます。これに関しては、「美味しいものが好きな富裕層は多いのは事実。でも、高級であることは美味しいことの必要条件でも十分条件でもないので、いつも一流レストランや有名店で食事をしているということでもない」と思います。

 

知り合いの富裕層にも、いわゆる「頑固オヤジ」がいるような町中華をネジロにしていて大勢でワイワイ食べに行く日もあれば、三ツ星レストランで豪奢な料理を堪能する日もある、というように、美味しいという価値が大事なのであって、価格やブランドは結果として、と考えている人も少なくありません。

 

むしろ、富裕層が行かないお店はあります。

富裕層が「行かない」店?

たとえば、最近よくある超予約困難店といわれる、高級レストランのごく一部です。そういうお店のビジネスモデルを理解しているからです。

 

時代は変わり、今は大箱のレストランはトレンドではありません。近年の予約困難高級店の典型例は、10〜15席程度のカウンターのみのこじんまりしたお店をつくって、人件費を含め最小のオペレーションで回します。お客さんの予約も、有名店で超短期でも働いたことがある料理人を起用して、それを宣伝文句に、プレオープンなどのプロモーションを打って、当初数ヵ月〜1年程度の予約を埋めてしまいます。

 

席数も少ないため、希少性を打ち出して、アーリーアダプターや、新店をスタンプラリーのように渡り歩く、食レポ族を取り込みます。集客コストを抑えたりドタキャンのリスクヘッジをしたりしているため、はじめて訪れる一般客への認知にはタイムラグがあり、必然的に枠も少なくなります。

 

だからこそ、仮に予約がとれると「せっかくこんなに待ったのだから」という希少性バイアスがかかり、さほど美味しいとは思えない料理であってもありがたく感じられ、高い会計をしてしまいます。

 

帰り際、「貴重な席が予約できるチャンスだから」と惰性で1年後2年後先の予約をしつつ、予約権を持っていることに対する承認欲求充足のためにレビューでも高得点をつけてしまい、さらに人気が高まる……というスパイラルが超予約困難店のごく一部で起こっている、ということだと思っています。

 

Valueについて検討したことがないけれど、人気株に群がる、新規上場株の抽選に申し込む、ということと似た行動パターンですね。

 

富裕層はバリュー投資、成長投資をするように、彼らは「人気だから」ではなく、「自分はこれが好きだから」という理由でお店選びをしていることが多い印象です。苦労して予約をとらなくても、長時間並ばなくても、美味しいものは自分で探し、自分で決めています。

 

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※本連載は、田中渓氏の著書『億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド』(徳間書店)より一部を抜粋・再編集したものです。

億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド

億までの人 億からの人 ゴールドマン・サックス勤続17年の投資家が明かす「兆人」のマインド

田中 渓

徳間書店

2008年に起きた世界規模の金融危機、いわゆるリーマンショックは、ゴールドマン・サックスに入社してまだ1年しかたっていない僕にとって足元が揺らぐほど信じがたい出来事でした。金融業界はもちろん、世界中の名だたる企業も…

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