理念をどう実現するか考え始めると“起こる現象”
高知支店では、2つの方針を掲げ、全員がキリンの代表者として行動するようになっていきました。
◎方針
・自分たちで考えて自分たちで行動する
・向かうところはキリンの理念の実現
その結果、得意先からも信頼されるようになったのです。
会社としては、予算は守らなくてはいけませんが、どのように乗り越えていくのか、という点に自由が発生します。そして、それを考え、行動に移すことが「仕事」なのです。
わたしの場合、
「お客様に1本でも美味しいキリンを飲んでいただき、しあわせになってもらう」
「営業担当は、どこにでもキリンが置いてある状態をつくる」
という理念と戦略を固定しましたが、戦術レベルでは完全に自由にしました。
お客様を相手に、「やっぱりキリンがいい」ということを伝えて飲んでいただく。そのためにどうしたらいいかを考えて取り組んでいくというスタイルです。
この方法が、四国や東海地区でも受け入れられ、市場の流れを反転させ、大きな結果が次々に生まれていきました。
やがて、本社に異動して4000人に増えた部下たちが、仕事に意義とやりがいを感じ始め、キリンビールの企業理念、お客様本位・品質本位を実現する組織になっていき、売上が急上昇していったのです。
人の本質は同じですから、しくみさえできれば、人のマネジメントも4000人のマネジメントも同じ現象が起こせるのです。
理念によるマネジメントは、構造を明確にしないと取り組めません。わたしの場合、その構造を高知で把握することができたのは幸運でした。
売れ続けるカギは「理念を言葉にすること」
会社としては、放っておいてもキリンビールがどんどん自然に売れていくのが望ましい状態です。それを実現する方法を知るために、どうしたら買ってもらえるのか、年間4〜5000人の消費者に聞いてまわりました。
「どうしたらキリンを買ってくれますか?」
と聞いた結果、お客様は
「売れているビールが飲みたい」
「どの飲み屋・小売店でも一番目立っていると『キリンビールが一番売れている』と思う」
ということがわかったのです。
そこで、「キリンが一番目立つ状態をつくれたら、放っておいても売れるはずだ」という仮説を立てました。
そしてその方法こそが、キリンビールの経営理念「お客様本位・ 品質本位」だと気づいたのです。
理念が明確になると、営業が行うべき行動も高知の人を大事にするメッセージを伝えていくことだと明確になり、自然に売れていきました。
過去の偉大なキリンの経営者は「利益よりも大切なことは、美味しいビールをつくり、日本人をしあわせにすることだ」という想いを掲げ続けてきたのです。
創業時からある、「お客様本位・品質本位」というキリンの経営理念を、わたしは「1本でも美味しいキリンを飲んでいただき、お客様にしあわせになっていただくこと、それをわたしたちの喜びにする」という言葉で部下に伝えていきました。
言葉にすることで、可能か不可能かではなく、どう実現していくかに意識を向けていったのです。
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理念実現を唯一の目標にするマネジメントは、このようにすることで利益が上がります。ここが、いわゆる理念経営やパーパス経営と似て非なるものと言えるかもしれません。
〈理念を言葉にすることでどう実現していくかに意識が向くようになる〉
水野 加津人
経営コンサルタント
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