インフレを追い風に日経平均30万円も?
エミン 僕は日経平均株価が1万円台だった2016年から、「2050年までに日経平均は30万円になる」と言い続けてきました。当時は笑われましたけど、現実は確実にそこに近づいているでしょう?
実際に10万円と言い出すエコノミストも、何人も出てきています。もちろんこれは、マイルドなインフレが続いていくことを前提とした数字です。大げさな数字を言っているつもりは全然なくて、むしろ保守的な予想だと思っているぐらいです。
日経平均が30万円に達するころには、新卒の月収は100万円ぐらいになっていると思いますよ。
木原 僕は毎年、WSOPに出場するために渡米していて、様々なものが値上がりしている状況を目の当たりにしているので、インフレがある方がむしろ自然だと感じています。
2050年に日経平均が30万円というのも、荒唐無稽な予想だとはまったく思いませんね。むしろ、その数字に対して上か下かにベットしろと言われたらかなり悩むぐらい、妥当な数字だと思います。
それにしても、誰もがインフレを実感している今ならともかく、日本全体がどっぷりデフレマインドに浸かっていたころから、エミンさんがそういう予想を出せたのは率直にすごいと思います。
エミン 僕が育ったトルコはハイパーインフレの国だから、もともとデフレマインドというものを持ち合わせていないんです。
教員だった母親は、給料を受け取ったら、すぐに使わないお金を全部金や米ドルに換えていました。子どものころから常に、モノがなくなるかもしれない、今日売っているものは明日同じ値段で買えないかもしれない、欲しいものは借金してでも早く買わないと手に入らない、という思いで消費と向き合ってきましたからね。
日本に来てもう30年近くなりますが、子ども時代をそういう環境で過ごしたので、デフレマインドに染まり切ることはなかったようです。コロナ禍でサプライチェーンが混乱したときも、モノがなくなることを恐れてすぐに車とパソコンを買ったくらいです。実際には警戒したほどのモノ不足にはなりませんでしたが。


