父から金融教育を受けた長男が相続手続きを行う
しかし、しっかり者のAさんは日ごろから長男には、いろいろと金銭的な教育をしていました。「いまこそしっかりしなければ」と長男は母を支えながら、父の突然の相続に適切に対処すべく、資料の整理などを始めました。そうはいっても初めての相続。当然わからないことだらけですが、Aさんが生前マメに記録していたエクセルを頼りに、名義変更などを進めていきました。
長男がしっかり進めてくれているうちに、Aさんの妻も少しずつではありますが、活力を取り戻していきました。そして、これからの生活についてなど先のことを考えられるようになってきたのです。そうして、時間は長くかかりましたが、相続税の申告も無事終了。申告が終わるころには、Aさんの妻も前向きになり、これまでAさんに任せていた日々の生活費についても自分自身で管理をするようになりました。
突然の税務調査…「貸金庫を見せてください」
遺された家族で支え合いながら過ごしていたある日、税務調査がきました。調査当日、予想外のことをいわれたのです。
Aさんの妻はなんのことだか、さっぱり。思わず聞き返しました。「ご主人が使われていた貸金庫です」調査官の話から、記憶を辿るAさんの妻。そこでようやくAさんが貸金庫を利用していたことを思い出しました。悲しみに暮れている状態で長男と名義変更をしていたころ、金融機関から貸金庫の存在について知らされました。相続が発生して初めて知らされることで、戸惑いましたが、状況を察してくれた金融機関の担当者が名義変更の手続きを効率よく進めてくれていました。
当時、一度中身を確認したものの、当時はいっぱいいっぱいで手を付けずそのままにしてしまっていました。「そういえば、いろいろ入っていたな」と思いながら、貸金庫を久しぶりに開けてみたところ……。過去の通帳や権利書などはわかっていたものの、奥のほうで積み重なっていたものの中身に驚愕しました。
なんと、現金と金の延べ棒が入っていたのです。そして、もう1つ。定年退職をしたときに長男からプレゼントされた手紙1枚とそのときの家族写真1枚が保管されていました。
妻は調査官の前でしたが、人目も憚らず泣き出してしまいました。そんな母につられ、父の思いを受け取った長男も思わず涙ぐみます。相続の手続きをしていた当時はやることが山積みなのと、上手く気持ちがついていかず、精一杯の状況でした。相続人として最低限の対応は完了したつもりです。こうして落ち着いてからも、まだ思い出すのはつらいので、過去の資料などを見るのはまだ辛く、遠ざけていたことも1つの理由でした。
金については、相場でいうと当時よりかなり高値で評価されており、現金と合わせて2,000万円ほどの金額になっていました。
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