(※写真はイメージです/PIXTA)

相続は大切な財産を次の世代に引き継ぐ重要な過程ですが、特に認知症などで成年後見制度を利用している場合、慎重な準備が必要です。本記事では、税理士の大野紗代子氏が、元気なうちから相続対策を進めた事例を紹介し、相続税や遺言書作成の重要性、また家族にとって最適な相続を実現するためのポイントを解説します。

相続税を最小化する「最適な遺言書」を作成

資料が届き、すぐに坪井さんご夫婦の相続税の試算を行ったところ、奥様には坪井さんの全財産の1/4ほどを相続させることが、2回分の相続税の合計を最も安く抑える方法であることが判明しました。その結果を坪井さんにご連絡すると、「ありがとう! 早速それを踏まえて遺言書を作成するよ」というお返事をいただきました。

 

それからしばらく経ち、太陽がぎらぎらと照りつける真夏の空の下、坪井さんと私たちは公証役場に向かい、遺言書を作成しました。

 

「私たち家族にとって最善な内容で遺言書を作ることができて、本当に嬉しいよ」と、寡黙な坪井さんも安心した様子で微笑みながら、迎えに来ていた長男さんの車で帰っていきました。

 

自分が亡くなった後、これまで築き上げてきた大切な財産を誰に引き継ぐのかを事前に決めておくことは非常に重要です。特に、相続税や成年後見制度が絡む場合には、より慎重な判断が求められます。

 

先祖から受け継いだ大切な財産を守るためには、相続が発生する前にしっかりと準備を整え、家族にとって最適な形で相続を進められるよう備えておくことの重要性を、改めて実感させられる事例となりました。

 

 

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