(※写真はイメージです/PIXTA)

相続は大切な財産を次の世代に引き継ぐ重要な過程ですが、特に認知症などで成年後見制度を利用している場合、慎重な準備が必要です。本記事では、税理士の大野紗代子氏が、元気なうちから相続対策を進めた事例を紹介し、相続税や遺言書作成の重要性、また家族にとって最適な相続を実現するためのポイントを解説します。

遺言書がないとどうなる? 成年後見制度が生む“思わぬ壁”

坪井さんの現状がおおよそ把握できたところで、私は次のようなアドバイスをしました。 


 
「遺言書がない今の状態で、坪井さんが亡くなると、奥様、長男さん、次男さんの3人で、誰がどの財産をどれだけ相続するか話し合う必要があります。これを法律用語では遺産分割協議と言います。奥様に成年後見人がついている坪井家の場合、成年後見人が奥様に代わって遺産分割協議を行います」

 

坪井さんは真剣な表情でうなずきながら聞いています。

 

「成年後見人には、被後見人(後見人の支援を受ける人。坪井家の場合は奥様)の財産や権利を守る義務があります。そのため、遺産分割協議では奥様の法定相続分である坪井さんの全財産の1/2を相続するよう主張します。この結果、坪井さんの希望である『長男さんにほとんどの財産を渡す』というご意向を実現するのが難しくなります」

 

「なるほど。ただ、私の相続では半分を妻に相続させて、その後、妻の相続で妻の財産のほとんどを長男に引き継がせるという流れにするのはどうだろう? 一度妻を経由しても、最終的に長男に財産が渡れば問題ないのだけれど。それに、配偶者は半分までは相続しても相続税がかからないと聞いたことがあるよ」

 

坪井さんは相続について知識をお持ちのようで、するどい質問をされました。

 

「その方法でも、結果的には長男さんに財産を引き継ぐことは可能ですが、相続税が高くなるリスクがあります。

 

奥様がすでに多くの財産をお持ちの場合、長男さんと次男さんは、坪井さんの相続時に相続税を払い、さらに奥様の相続時に、坪井さんから奥様が相続した財産が増えた状態でもう一度相続税を払う必要があります。

 

坪井さんの相続時には、配偶者の税額軽減という制度を使って相続税を軽減できますが、奥様の相続時には、相続人が2人になり、かつこの軽減制度が使えなくなります。そのため、トータルで見ると奥様が相続することで相続税が高額になる場合が少なくありません」

 

坪井さんは真剣な顔でノートにメモを取り始めました。

 

「坪井さんの相続と奥様の相続でトータルの相続税を安くするためには、まずはお二人の財産額を把握し、奥様にどれほど相続させるのが最も有利か検討する必要があります。
その割合がわかったら、それに基づいた内容で遺言書を作成されると良いでしょう」

 

「なるほど。成年後見人がついているからといって安易に妻に半分を相続させようとすると、損する可能性があるのか。早速、夫婦二人分の現状分析をお願いします。まずは私から必要な資料を準備して送るよ」

 

坪井さんはやるべきことが明確になったことで、顔つきが引き締まり、足早に帰って行きました。

 

【12/18(木) 『モンゴル不動産セミナー』開催】

坪単価70万円は東南アジアの半額!! 都心で600万円台から購入可能な新築マンション

次ページ相続税を最小化する「最適な遺言書」を作成
カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録