深刻化する「家計債務」の“根本原因”
家計の債務は慢性的な問題であり、パンデミックによってさらに深刻化した。月収が3万バーツ(約13万円)未満の家庭は、パンデミック時に大きな打撃を受けたと、2023年のサイアム商業銀行傘下の研究所SCBエコノミック・インテリジェンス・センター(EIC)による消費者調査で報告されている。
消費者行動も、債務の蓄積に大きな影響を与えている。
消費財の魅力と、以前の簡単なクレジット利用のしやすさが相まって、多くのタイ人が自分の支出能力を超えた消費を行った。この傾向は特に若い世代に顕著であり、財務リテラシーの不足が問題を悪化させ、債務の長期的な影響を理解できていないケースが多い。
かつてBOT(タイ銀行)の低金利政策は消費者に借入を促す結果となり、若い世代が急速に収入を超える債務を抱える原因となった。中には、厳しい労働市場の影響で学生ローンを返済できない人々も多かった。
また、多くの人が借金をして新車を購入したが、中国の電気自動車メーカーによる価格引き下げが頻発したため、中古車市場での価値が急落し、結果として返済不能な車が増加。これが貸し手側にも悪影響を与えた。
さらに、住宅ローンの不良債権化も進行。タイの銀行における不良債権比率(NPL)は、2023年第3四半期に過去3年間で最高水準に達し、未回収ローンは全体の2.97%を占めた。
このような状況を受け、銀行やノンバンク融資機関は新規ローン申請を大量に却下しており、これが経済活動のさらなる鈍化を招いている。
経済回復の兆しも……
タイの家計債務は16.3兆バーツ(約74兆3,000億円)に達し、GDPの89.6%を占めている。第二四半期にはGDPの90%をわずかに下回ったのは、3年ぶりのことである。
しかし、専門家たちは、これは家計の収入の実質的な増加によるものではなく、GDPの拡大による技術的な要因であると考えている。
年末には輸出の増加や経済回復の兆しも見られた。
「しかし、国は貿易赤字を抱えており、輸出の拡大は一時的である可能性がある。ドナルド・トランプ次期大統領の就任後、輸入業者は高い関税率を懸念するだろう」とピパット氏は述べている。
長期的には、人工知能(AI)が多くの労働者を代替する可能性があり、雇用市場には大きな圧力がかかるだろう。
「AIの雇用市場への影響は、現在過小評価されている可能性がある」とサンティ氏は警告し、多くの仕事が失われるだろうと述べている。
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