22歳離島出身の女性「今日からホームレスになりました」…究極の選択の裏側にある「双子の姉」と「母親」の存在【Z世代ネオホームレスの実態】

22歳離島出身の女性「今日からホームレスになりました」…究極の選択の裏側にある「双子の姉」と「母親」の存在【Z世代ネオホームレスの実態】

「お金がない」「家がない」「頼れる人がいない」…そういった事情とは別の理由でホームレス状態になっている、いわば“ネオホームレス”とも呼べる存在の若者が増えているといいます。本記事では、元芸人でYouTube登録者数24万人超えの青柳貴哉氏の著書『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』(KADOKAWA/2023年4月発売)より一部抜粋し、著者が出会った22歳・離島出身の女性についてご紹介します。

島から離れた高校を卒業すると姉とは不仲に

アヤリさんの家族は、彼女が群馬県で生まれたあと、今の実家がある離島に引っ越した。中学生までは島内の学校に通っていたが、中学卒業後にアヤリさんだけが島を離れ、群馬にいる祖母のもとで通信制高校の授業を受けることになった。その後、高校を卒業した彼女は埼玉県の会社に就職したという。

 

アヤリさんは「1つ目は清掃の会社で、2つ目は光学レンズの研磨の仕事でした。スマホのカメラのところに付いてるやつとか」と説明し、最初の清掃会社は半年、研磨の仕事は2年半ほど働いて辞めたことを明かす。

 

「仕事を辞めて半年くらいは、貯金を切り崩しながら就職活動をしていました。でも、コロナ禍もあって仕事が見つからず、実家に戻らなきゃいけなくなって」

 

高校を卒業してから2つの会社に勤めていた期間がおよそ3年、就職活動を続けていたのが半年間。その3年半を経て、アヤリさんは2022年7月に実家のある離島へ戻ることになった。高校入学時に16歳で島を離れたアヤリさんにとっては、約6年ぶりの実家暮らし、ということになる。

 

両親と姉を含めた家族4人での生活がスタートし、アヤリさんは現地のホテルで清掃のアルバイトを始めた。しかし、そのアルバイトは「一応まだ在籍ってことにはなってるけど、2ヶ月くらいもう全然行ってない状態」だという。

 

島に戻ってから現在までの数ヶ月間について詳しく話を聞いてみると、どうやら”姉との不仲“が彼女の大きな悩みになっているようだった。

 

姉も同じホテルでアルバイトをしており、彼女は姉との関係を「バイト先で姉とケンカになって。それから(職場から)追い出されるみたいになっちゃって」「姉が気に入らないことがあると八つ当たりしてきて、それでケンカになることがよくあって。ここにいたら自分がもたないかなって思った」と、僕に話した。ちなみに、アヤリさんと姉は一卵性の双子で同じ22歳。子どもの頃は仲が良かったが、高校卒業後から姉妹の仲がぎくしゃくしていったらしい。

 

話を聞いて、僕は「それ(姉との不仲)がアヤリさんがホームレスをしようと思ったきっかけですか?」と彼女に聞いてみた。すると、彼女はこう答える。

 

「それより、親とかのことを考えなくていいし、楽かなって思ったんですよね」

 

姉との不仲だけでなく、両親との関係性にもアヤリさんは悩みを抱えている様子だった。アヤリさんは自分の両親について「ちょっと毒親気質があって……」と表現した。

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※本連載は、青柳 貴哉氏の著書『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち

Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち

青柳 貴哉

KADOKAWA

貧困だけでは語れない。元芸人が、Z世代ネオホームレスの実態に切り込む。 YouTubeでホームレスを取材し続ける、元芸人による渾身のノンフィクション。 自らの意思で家に帰らない、Z世代ネオホームレスのリアルに迫る。 …

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