トー横界隈は助け合いの場?…起業の夢を抱く17歳高校生が新宿歌舞伎町に通うワケ【Z世代ネオホームレスの実態】

トー横界隈は助け合いの場?…起業の夢を抱く17歳高校生が新宿歌舞伎町に通うワケ【Z世代ネオホームレスの実態】

「お金がない」「家がない」「頼れる人がいない」…そういった事情とは別の理由でホームレス状態になっている、いわば〝ネオホームレス〞とも呼べる存在の若者が増えているといいます。本記事では、元芸人でYouTube登録者数24万人超えの青柳貴哉氏の著書『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』(KADOKAWA/2023年4月発売)より一部抜粋し、著者が出会った起業の夢を抱えながら新宿歌舞伎町・トー横に通う少年についてご紹介します。

たまたま場所がトー横だっただけ?

僕はモカさんへの取材を通じて、トー横界隈について「精神的に追い詰められた人たちが、死に場所を探し回った挙げ句にたどり着く場所」という印象を持っていた。未来に希望を感じられず、この瞬間を刹那的に生きているような、そんなイメージだ。

 

しかし、目の前にいるユイト君には起業という将来の夢があり、その仲間をトー横で集めるという目的意識もあった。ここに来たら普段なら出会えないような人と知り合いになれて、コネや人脈ができる。

 

そういう意味では、サラリーマンが異業種交流会に参加して名刺交換することと、ユイト君がトー横界隈に通い続けることは、大きく違わないとも思える。

 

将来への建設的な考えをしっかり持っているユイト君を見ていると、「彼ならトー横でなくてもうまく生きていけるのではないか」という思いが僕の頭をよぎる。社会に出て、赤い髪を黒く染め、スーツとネクタイを身につけて名刺交換をしている、そんなユイト君の姿を想像するのは難しいことではなかった。

 

それに正直なところ、モカさんのような「ここにしか居場所がない」という切実な雰囲気をユイト君には感じなかった。アルバイトで稼いだお金でトー横に遊びに来ている高校生、という印象の方が強い。

 

家に一人でいるよりも友達といっしょに遊ぶ方が楽しい。トー横に行けば友達に会える。たまたま場所がトー横だっただけで、ゲームセンターで友達とつるむ普通の高校生と大きくは違わないように僕には見えた。

 

僕はユイト君の話を聴いて、トー横キッズのことがますます分からなくなった。トー横キッズとは、いったいなんなのか。

次ページトー横キッズの実態

※本連載は、青柳 貴哉 氏の著書『Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち

Z世代のネオホームレス 自らの意思で家に帰らない子どもたち

青柳 貴哉

KADOKAWA

貧困だけでは語れない。元芸人が、Z世代ネオホームレスの実態に切り込む。 YouTubeでホームレスを取材し続ける、元芸人による渾身のノンフィクション。 自らの意思で家に帰らない、Z世代ネオホームレスのリアルに迫る。 …

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