ペアローンで購入していたマンション
良子さん(40歳)は大学を卒業後、都内の会社に就職。26歳のときに同じ会社に勤めていた2歳年上の男性と結婚しました。良子さんはその後転職。転職して落ち着いたタイミングの30歳のときに良子さんの実家近くに立地条件のいいマンションができると知り、購入したのです。良子さんの実家とマンションは神奈川県で人気路線の沿線にあります。すぐ隣が東京都世田谷区ということもあり、マンション価格は約6,000万円でした。
しかし、どちらか片方の収入だけでは希望する借入金額に達しなかったため、ペアローンで住宅ローンを組むことにしました。持分はそれぞれ50%です。
しかし、ちょうど去年のお正月に夫の不倫が発覚して離婚することに。もともと浪費癖があった夫だったので「いつかはこうなるかも」と予感はしていたものの、部下との不倫が引き金になりました。ちなみに不倫が発覚したきっかけは夫の不倫相手が正月早々にアップしたインスタでした。夫の不倫相手は夫の部下だったのですが、良子さんの元同僚でもありました。彼女のインスタをたまたま目にしたときにアップされたお雑煮の餅の形にピンときたのです。
「このお餅、夫の実家から送ってきたやつと同じじゃない? しかも海老が入ってる……」
毎年、富山の夫の実家からつきたての餅が送られてくるのですが、義父が関西出身ということもあって丸餅が送られてくるのです。(富山は角餅が主流)。夫が作るお雑煮自体は富山風で海老が入っているのが特徴です。夫が「これがうまいんだよ」とよく実家のお雑煮を振る舞ってくれていたのです。ちなみに不倫相手は東京出身で富山には縁もゆかりもなく、料理自体もあまりしないという情報を良子さんは知っていたので「ほぼクロだな」と思ったのでした。
「正月早々、(夫を)仕事に送り出したけれど……あの人、不倫相手の家でもお雑煮作ってあげてたんだ……そういえば会社の人にもお裾分けと言って餅も持っていったっけ」浪費癖はあるものの、他人を喜ばせることが大好きな夫なので良子さんは何の疑いも持ってはいませんでした。
その後、1年にわたってマンションをどうするか夫婦で話し合いの場が持たれました。実家近くで都心にも出やすい立地ということもあり、このまま今のマンションに住み続けたいと思った良子さんですが……。
住宅ローンのペアローンとは
住宅ローンを組む際、片方の収入だけでは希望借入金額に達しない場合、配偶者の収入を合わせて申し込むことで希望する金額まで借りられる可能性があります。その方法には収入合算とペアローンがあり、収入合算の場合、契約者はあくまでも1人で収入を合算した側が相手の返済が難しくなった際に代わりに返済する義務を負います。
一方、ペアローンとは夫婦それぞれが一つずつの住宅ローン契約を結び、それぞれの持分を返済していく方法です。夫婦はそれぞれの連帯債務者になるため、どちらかの返済が難しくなった場合はもう1人が返済しなければなりません。
ペアローンのメリットは、それぞれが団信保険に加入でき、またそれぞれが住宅ローン控除の適用を受けられることです。
ペアローンを組んでいて離婚する場合の選択肢
夫婦でペアローンを組んでいた場合、離婚する際にはそのマンションをどうするかを話し合わなければなりません。
片方がローンを引き受ける
夫もしくは妻のどちらかがそのマンションに住み続け、住み続けるほうが相手のローンを引き受ける方法です。ただ、そのためには金融機関が承諾しなければならず、また引き受ける側の収入が高い場合に限られます。
もともと収入が少ないことからペアローンを組んだ経緯もあり、金融機関の承諾がなかなか得られないため、一般的にこの方法をとるのは難しいでしょう。
片方の名義で住宅ローンの借り換えを行う
家に残る側の名義で住宅ローンの借り換えを行うという選択肢もあります。ただし、借り換えのときには新規申し込みと同じように審査に通らなければなりません。住宅ローンの残高にもよりますが、片方の収入だけでは借りられない可能性があります。
売却する
思い切って売却する方法もあります。
しかし、この場合売却価格によっては問題になってしまいます。売却価格が住宅ローン残債よりも多ければ、問題ないのですが、売却価格が住宅ローン残債よりも低い場合、売却してもローンの支払いが残るため、売却できないのです。