(※写真はイメージです/PIXTA)

大切な家族を見送った後には、多くの手続きが待っています。特に、不動産に関する手続きは複雑で、法的な手続きを進めるには登記や名義変更の流れを理解することが重要です。この記事では、弁護士である中澤泉氏が、不動産の相続にまつわる基本的な知識や名義変更の方法、注意点などについて解説します。

名義変更をしなかった場合のリスク

1.次の相続時に発生する複雑な手続き

名義変更を長期間放置すると、次の相続の際に相続人が増えて権利関係が非常に複雑になることがあります。

 

例えば、父親が亡くなり子が相続人になった場合、相続登記を行わないまま子が亡くなってしまうと、次にその孫が相続人となります。そして、その孫がさらに亡くなれば、その子、つまりひ孫が相続人となり、相続人が世代をまたいで増えていきます。

 

このように相続人が増えると、全員の同意を得て名義変更を行うことが必要になりますが、相続人の中には協力しない人や、病気で話し合いができない人、さらには行方不明者が出てくる可能性もあります。こうした状況では、名義変更が非常に困難になり、手続きを進めるためには調停や裁判が必要になるケースもあります。

2.法定相続分が差し押さえられるリスク

遺産分割協議や遺言で特定の人が不動産を相続することが決まっていたとしても、相続登記を行わない限り、その事実は第三者に対して有効に主張することができません。もし他の相続人の一人に借金があった場合、その債権者は相続登記が行われていない不動産に対して、その相続人の法定相続分を差し押さえることが可能です。

 

しかし、相続登記を済ませていれば、他の相続人の債権者は不動産の差し押さえをすることができなくなります。相続登記を行うことによって、第三者に対して自分の権利を法的に守る「対抗要件」が得られるため、法定相続分が差し押さえられるリスクを回避できるのです。

 

未登記のままでは、この対抗力がないため、第三者に対して自分の権利を主張できず、先に登記を行った者が優先されてしまいます。

3.共有持分が売却される可能性

相続において、相続人の一人は他の相続人の協力がなくても、自分の法定相続分に基づいて相続登記を申請することができます。また、相続人の債権者も、その相続人に代わって法定相続分の範囲内で登記を申請することが可能です。

 

例えば、長男と次男が相続人の場合、長男または次男は、相手の同意を得ることなく、それぞれ自分の法定相続分(2分の1)の持分で相続登記を完了することができます。このような状況で、次男が経済的な理由から自分の共有持分を第三者に売却したり、担保に入れたりすることも可能です。

 

このように、共有持分が第三者に渡ってしまうと、不動産の所有権が他者に及び、後に名義変更を行う際に複雑な手続きが必要になる可能性が高まります。また、売却された共有持分を取り戻すためには、追加の費用や時間がかかることになります。

名義変更の際に考慮すべき「名義人の選び方」

相続による不動産の名義変更では、誰に名義を移すべきか慎重に検討する必要があります。

 

相続人が複数いる場合、名義を誰に変更するかで財産の承継に大きな影響を及ぼします。配偶者、子供、共有名義のいずれを選ぶかによって、異なるリスクや利点が生じるからです。

 

母名義にする場合のメリットとデメリット

 

母親名義にする主なメリットは、配偶者控除による相続税負担の軽減と、母親が住み続けられることで生活が安定する点です。ただし、母親が亡くなった際の二次相続では、再び手続きが必要となり、その過程で兄弟姉妹間のトラブルが起きる可能性があります。

 

子供名義にする場合のメリットとデメリット

 

最終的に子供が不動産を引き継ぐ場合、初めから子供名義にしておけば、二次相続を避けられ、登記や税金のコストを削減できます。しかし、母親が住み続けている場合、子供名義に移すことで母親の権利が制限されることや、子供が予期せず不動産を売却するリスクも考慮が必要です。

 

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