米金利の上昇や利下げ観測の後退などを受け、利益確定が優勢に
⽶国株式市場(S&P500種指数)は、前週末⽐▲0.8%の下落となりました(図表1)。
⽶⼤統領選で共和党のトランプ候補が勝利を確実にし、次期政権が打ち出す減税や規制緩和などが景気を押し上げるとの期待が引き続き相場を下⽀えし、上昇して始まりました。
その後は、短期的な過熱感が意識されるなか、次期トランプ政権の政策がインフレや財政⾚字の拡⼤につながるとの思惑や、パウエルFRB議⻑が「経済は、利下げを急ぐ必要性についていかなるシグナルも発していない」と、利下げペースについて慎重に判断する考えを⽰したことを受け、⽶⻑期⾦利の上昇を嫌気した売りが優勢となり、前週末⽐では下落となりました。
なお、13⽇には連邦議会選で共和党が下院の多数派となり、⼤統領と上下院の多数派を共和党が占める「トリプルレッド」が確実となったものの、株式市場への影響は限定的となりました。
10⽉のCPIは前⽉から加速
⽶労働省が公表した2024年10⽉の消費者物価指数(以下、CPI)は前年⽐+2.6%(9⽉︓同+2.4%)と、市場予想通りの結果となりました(図表2)。
伸びが加速するのは7ヵ⽉ぶりとなります。⾷料品(9⽉︓前年⽐+2.3%→10⽉︓同+2.1%)の伸びが鈍化する⼀⽅で、エネルギー( 9⽉︓ 前年⽐▲ 6.9 % → 10⽉︓同▲4.8%)の下落幅が縮⼩したことが、CPIを押し上げました。
変動の⼤きい⾷料品及びエネルギーを除くコアCPIについては、9⽉から変わらず前年⽐+3.3%(市場予想:同+3.3%)となりました。特に、全体に占めるウェイトの⼤きい帰属家賃(9⽉、10⽉︓前年⽐+5.2%)などのサービスがコアCPIを⾼⽌まりさせる要因となっています。
コアCPIについて瞬間⾵速を映す前⽉⽐では+0.28 %と、概ね市場予想通り(+0.3%)の結果となりました(図表3)。
この結果、FRBが注⽬する基調的な物価変動を⽰す3ヵ⽉前⽐年率値は+3.55%(9⽉︓3.08%)と⼤きく加速した⼀⽅、6ヵ⽉前⽐年率は+2.56%(9⽉︓+2.59%)と⼩幅ながら鈍化しました。
アトランタ連銀やクリーブランド連銀が公表している他の基調的な物価指標をみても、刈込平均が前期⽐年率3.25%(9⽉︓同+3.71%)、粘着価格が前期⽐年率+3.68%(9⽉︓同+3.95%)、メディアンが前期⽐年率+3.60%(9⽉︓同+4.1%)と振れを伴いながらも、モメンタムは鈍化傾向にあると考えられます(図表4)。
コアCPIの内訳をみると、コア財は前⽉⽐+0.05%と、7ヵ⽉ぶりにプラスに転じた9⽉(同+0.31%)から伸びが鈍化しました(図表5)。
内訳をみると、中古⾞が前⽉⽐+2.72%(9⽉︓同+0.31%)と⾼い伸びとなったものの、その他の多くの品⽬がディスインフレ傾向にあることが改めて⽰されました。
中古⾞については、ハリケーンにより供給が減少したことが影響した可能性があり、先⾏指標であるマンハイム中古⾞価格指数が下落傾向にあることから、⼤幅な上昇は⼀時的とみられます。
⼀⽅、コアサービスについては前⽉⽐+0.35%と、9⽉(同+0.36%)から変わらず⾼い伸びを⽰しました。特に、ウェイトの⼤きい帰属家賃(9⽉︓前⽉⽐+0.33%→10⽉︓同+0.40%)の伸びが⾼⽌まりしており、サービスインフレの根強さが改めて⽰されました。
インフレ加速を回避した10⽉のコアCPIと同様、FRBが物価動向を把握するうえで最重要視しているコアPCEデフレーター(11/27公表)は、10⽉に前⽉⽐+0.3%(9⽉同+0.3%)と、インフレ加速を回避することが予想されています。事前の予想通りの結果となれば、12⽉FOMCでの0.25%の追加利下げを後押しするとみられます。
東京海上アセットマネジメント
※当レポートの閲覧に当たっては【ご留意事項】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『トランプ勝利後の、米経済はいかに?東京海上アセットマネジメントが振り返る…11月11~15日の【米経済の動向】』を参照)。
※本記事は東京海上アセットマネジメントの「TMAMマーケットウィークリー」の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が文章を一部改変しております。
※全文は「TMAMマーケットウィークリー」をご確認ください。
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