東京23区の所得、圧倒的1位は「港区」
東京は日本の首都であり、経済の中心であるため、お金と人の集中ぶりは全国と比べたとき段違いである。ただ、当然ながら、その中心である23区内にも大きな経済格差がある。
総務省の『令和5年度市町村税課税状況等の調』の統計から算出した2023年度1年間の1人当たりの平均所得を見てみると、東京23区でいちばん平均所得が高いのは港区の約1,070万円となっている[図表1]。
次いで、千代田区の約941万円、渋谷区の約810万円で、以下、所得水準の高い順に、中央区、文京区、目黒区、世田谷区、新宿区が続く。
この港区、千代田区、渋谷区、中央区、文京区、目黒区、世田谷区、新宿区は、23区内の所得水準において8強とも呼ばれている。
もっとも、8強といっても上位3区と、それ以下の所得格差は大きい。4位の中央区の平均所得は約702万円であり、3位の渋谷区とは100万円以上の差がついているのだ。
23区内最下位は「足立区」だが、日本全体で見れば上位
一方、23区内で平均所得の最下位の区は、約355万円の足立区だ。葛飾区も約6万円の差でほとんど変わらず、両区とも1位の港区の3分の1程度の水準である。
しかし、そんな足立区、葛飾区も日本全国で見たときは、高所得の人が多く住んでいる自治体ということになる。全国1741の市区町村のなかで、葛飾区の順位は126位、足立区は147位であり、上位1割の順位には入っているのだ。
近畿地方でもっとも人口の多い大阪市は156位、三大都市圏以外で人口最多の市である札幌市は321位だ。つまり、葛飾区、足立区はそれらの市区町村よりも所得水準が高いということになる。
そもそも、東京23区全体の平均所得は約532万円で、全国平均の約350万円とは180万円以上の開きがある。また、市区町村の平均所得において、東京以外でトップ10に入っているのは、ホタテ漁で有名な北海道猿払村と兵庫県芦屋市の2自治体のみ。
このことからも、いかに東京に富が集中しているかが、よくわかる。
榊 淳司(監修)
不動産ジャーナリスト
東京・首都圏 後悔しない住環境リサーチの会(著)