老後資金を目的別に分ける
老後資金の計画を立てるにあたって、まずは限りある資金の使い道を把握することが大切です。
老後における支出は、主に3つに分けられます。
・ライフイベント資金
・介護費用
●生活資金
生活資金には、食費や住居費などの日常生活費、趣味や旅行などに使う娯楽費、医療費も含まれます。配偶者が亡くなった場合、その後の1人分の生活費については夫婦2人のときの「7割程度」で見積もっておく考え方が理想的といえます。
・医療費
医療費は一般的に、70~74歳では自己負担が2割に、75歳以上では1割と、現役世代よりも費用負担が軽くなる社会保障制度に基づいて支払われます。高額な医療費がかかった場合は高額療養費制度を活用し、全体として大きな出費を抑えることが可能です。
もちろん個人差はありますが、医療費単体での大きな金額を備える必要性は必ずしも高くないといえるでしょう。
・生活資金を賄うためのお金
生活資金を賄うお金として、基本的に65歳までは就労収入、65歳以降は公的年金と考えておきましょう。また、不足分を「アルバイトなどで就労収入を確保する」「手元資金を当面の生活資金に充てる」「夫婦のいずれかが“年金の繰下げ受給”制度を活用し、受給額を増額する」なども方法として考えられます。
●ライフイベント資金
60代~70代前半は、意外とライフイベントの多い時期といえます。
たとえば、
・孫の誕生などの資金援助
・自宅のリフォーム
・車の買い替え
など、大きな出費を伴うイベントが目白押し。定年を迎え収入が減るにもかかわらず、支出は増えていく一方……という事態が起きてしまいます。
イベントごとの出費によって生活資金や介護費が圧迫されることがないよう、必要に応じて、ライフイベント関連の出費を抑える工夫も必要です。
●介護費用
生命保険文化センターによる「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」では、介護費用は1ヵ月平均“約8万3,000円”、平均介護期間が“5年1ヵ月”となっています。個人差の大きい費用となりますが、平均介護費用・期間から予測できる1人あたりの介護費用は“約506万円超”の試算となります。
ちなみに「平均寿命」とは、「各年における0歳児の平均余命」を指します。
例えば「2022年の女性の平均寿命が87.09年」と公表された場合、「2022年時点で亡くなった女性の平均年齢が87.09年」という意味ではなく、「2022年に生まれた女性は社会情勢など大きな変化がない限り、平均的に87.09年生きられる」ことを意味します。