後継者が「親族以外」の場合に事業承継で起こりうるトラブル
事業承継において、後継者が従業員など法定相続人以外の場合、
・後継者に株式を買い取ってもらう
・無償で譲渡する
という2つの方法があります。この際、起こりうる問題は下記の3点です。
■無償譲渡の場合
……後継者が贈与税の納税資金が必要となる
■後継者が法定相続人から「遺留分」を主張される
……賠償義務を負う可能性がある
■後継者の社会的信用がまだない(少ない)
……運転資金を融資してもらうのが難しくなるケースもある
生命保険を活用した事業承継対策は、「逓増定期保険」あるいは「長期平準定期保険」に加入し、自社株の評価額を引き下げるという1点のみとなります。
前提として、後継者が法定相続人ではない場合、個人が生命保険に加入して後継者のために資金を準備することは不可能です。生命保険の保険金の受取人は原則として「2親等内の血族」に限られているためです。
したがって、対策を講じるべきは「株式の価値をできるだけ引き下げること」です。そのためには、会社として「逓増定期保険」か「長期平準定期保険」に加入し、自身の退職金を準備しつつ保険料の一定割合を損金に算入していくことが、もっとも合理的な方法といえます。
また、経営者としては、後継者がいずれまとまったお金が必要になることを見越し、あらかじめ対象者の給与をある程度多めに設定し支給することもひとつの手です。