金融機関が破綻した場合、財産はどうなる?
ご存じの人も多いように、2024年から新しいNISA制度が始まりました。国を挙げて国民に投資を呼びかける時代の到来を感じます。
現在、預貯金だけでなく、資産運用・資産形成が一般的になりつつあります。民間の証券会社・銀行・保険会社など、さまざまな金融機関に大切な資産を預ける一方、「万が一、お金を預けている金融機関が破綻したらどうなるのか」という不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
現状、日本国内の多くの金融商品においてはセーフティネットが設定されているので、たとえ金融機関が破綻しても預けている資産は守られる仕組みになっています(ただ、一部の例外があるため注意が必要です)。
金融商品のセーフティーネットとは
セーフティネットとは、英語のSafty-netをカタカナであらわしたもので、万が一落下しても受け止められるように安全のために設置された網を指す言葉が語源です。金融商品のセーフティネットとは、金融商品を扱う金融機関の経営が破綻した場合に、投資商品・預金・保険などの顧客の財産を守るために作られた仕組みを指しています。
証券会社や銀行、保険会社などは、それぞれの業界によって作られた制度は異なりますが、万が一のことがあっても財産が守られるようになっています。
大事な点として、“安全のための網の間から落ちてしまうことがある”ように金融商品のセーフティネットの対象とならない場合もあるため、注意が必要です。
証券会社の場合
株式や債券を扱う証券会社においては分別管理が原則とされており、投資者の利益が守られます。分別管理とは、証券会社の資産と投資者の投資資金や有価証券を別々に管理しておくことをいいます。分別管理をすること自体が、証券会社に義務付けられています。したがって、証券会社の経営が悪化し資金が足りなくなったとしても、投資者の資産に影響はないのです。
分別管理対象となるのは、投資者の株式や債券はもちろん、売買代金などの現金も含まれます。投資者の資産として、すべて安全に管理されていると考えてよいでしょう。
証券会社の破綻後も、投資者は自分の資産の返還を受けることが可能となります。証券会社が破綻した場合、分別管理が行われていなかったなどによって、投資者の資産に不利益が生じるおそれも想定できます。その場合は、投資者保護基金が損失を補償してくれます。すなわち、分別管理と投資者保護基金による“二重のセーフティネット”が用意されているということになります。
投資者保護基金では、顧客1名につき1,000万円まで補償されます。日本国内で営業する証券会社では、原則投資者保護基金への加入が義務づけられています。
また、現状銀行でも投資信託などの金融商品を扱うことは多くあります。ただし銀行では分別管理は義務付けられているものの、投資者保護基金の補償対象にはならない点は要注意です。
補償対象外となるものは?
投資者保護基金の補償対象となるものは、顧客1名につき1,000万円まで補償となるため、1,000万円を超えた分は対象外となります。
他、外国為替証拠金取引(FX取引)などのデリバティブ取引・外国市場デリバティブ取引に関わるものは補償対象外となります。