フィリピンの経済成長に大いなる可能性
HSBCフィリピンは、フィリピン経済はサービス輸出と投資の見通しが明るく、「アジアのスーパースター」になる可能性があると述べています。
HSBCのリサーチによると、フィリピンのGDP成長率は2026年に6.7%に達し、地域での成長率のトップとなる見込みです。その背景にあるのは、サービス輸出が国際送金(OFW)の成長を上回り、外国直接投資(FDI)も引き続き高水準を維持していること。さらに、フィリピン政府は今年の成長目標を6~7%としており、改革の成果が経済成長の後押しになっているとしています。
HSBCは、フィリピンがASEANの星からアジアのスーパースターに成長するためには、7%以上の成長が必要としています。今後の成長の要因としては、若い労働力やデジタル化、そして堅調なサービス輸出が挙げられています。
一方で、インフラ整備の課題が依然として残っており、特に移動手段や物流、エネルギー、水、データのインフラ改善が必要と指摘されています。また、ウクライナ戦争などの地政学的なリスクがエネルギー価格に影響を及ぼし、フィリピンのような輸入依存国にはリスクとなり得るとしています。
政府はGDPの5~6%をインフラ投資に充てる計画を立てており、こうした取り組みによって今後の経済成長の基盤が築かれると予想しています。
フィリピン製造業…14ヵ月連続成長も広がる懸念
フィリピンの製造業は10月も成長を続け、14ヵ月連続で拡大しましたが、新規受注と生産の伸びが落ち着き、成長ペースは前月から鈍化しました。
S&Pグローバルによると、フィリピンの製造業購買担当者景気指数(PMI)は10月に52.9を記録し、9月の53.7から低下しましたが、1月以降で2番目に高い水準でした。50を超えるPMIの値は製造業の改善を示し、50を下回る値は悪化を示します。フィリピンのPMIは2023年9月以来、50を上回る数値を記録しており、10月はベトナムやタイを上回りASEAN諸国で最高値を記録しました。ASEAN地域全体の平均は50.5で、前月から変わらずでした。
新規受注は15ヵ月連続で成長し、生産も7ヵ月連続で拡大しましたが、原材料価格の上昇により購買活動は前月より減速しました。また、在庫の消費も進み、未完成品の在庫は3ヵ月連続で減少しています。サプライチェーンには依然として課題があり、原材料不足や港湾の混雑が原因で納期が遅れ、これが原材料価格の上昇要因の一つとなっています。さらに、ペソがドルに対して下落したことも価格上昇に影響を及ぼしました。
10月末のペソは1ドル58.10ペソで、9月末の56.03ペソから弱含みとなりました。製造業者は依然として強い需要を見込んでおり、約半数が今後1年間の成長を予測しています。フィリピンの製造業はASEAN地域で最も堅調な数値を示していますが、同時にフィリピンの製造業はASEAN全体でのシェアは低いものとなっています。
また、年末のクリスマスシーズンに向けて、企業が増産を行う傾向があるため、フィリピンの製造業はさらに成長する可能性があります。しかし、技術力不足やスキルの欠如といった供給面での課題が依然として存在しています。これに加え、フィリピンの賃金引き上げが一部の製造業に影響を与えており、競争力が高い他のASEAN諸国への受注移行も見られました。
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