第2次トランプ政権、フィリピンへの影響
フィリピンのワシントン駐在大使であるホセ・マヌエル・ロムアルデス氏は、ドナルド・トランプ氏がホワイトハウスに復帰した場合でも、フィリピンと米国の長年にわたる安全保障同盟には大きな変化はない見込む一方で、経済政策の影響が重要な焦点になるだろうと述べています。
同大使は、フィリピンは強化された防衛関係を活かして、トランプ氏の2期目においても引き続き米国からのインフラ支援や投資の流れを維持しようとしています。特に、トランプ氏の保護主義的な経済政策が世界経済に波紋を広げる可能性があるなかで、フィリピン経済への影響を注視しています。
トランプ次期大統領が全輸入品、特に中国からの製品に高関税を課す計画に対して、フィリピンは双方にとって有利な条件を目指して交渉したいとしています。また、米国が製造業を再構築するなかで、フィリピンはサプライチェーンのパートナーとして認識されることを目指して働きかけを強化する考えです。
一方、南シナ海問題に関しては、次期米国政権が中国の攻勢に対抗する現在の戦略を大幅に変更することはないとしています。南シナ海が1951年の相互防衛条約の対象となることはトランプ氏の1期目に確認されており、トランプ氏も2017年にフィリピン訪問の際、同地域を「最も価値のある地理的位置」と述べています。
また、ロムアルデス大使はトランプ前政権の元高官や共和党指導者と連絡を取っており、フィリピンが経済的に強くなることで、防衛力を自力で強化し、米国の支援と合わせて真のパートナーとして貢献できると強調しています。
フィリピン債券市場のグローバル化の最新動向
フィリピンは、2025年にJPMorganの現地通貨新興市場債券指数への編入を目指しています。これは、2024年に編入基準に達しなかったためで、当局は米国のJPMorganと数カ月にわたって協議を重ねています。フィリピン財務大臣のレクト氏は、編入に向けた金融改革を進め、来年の実現を目指していると述べました。
新興市場の国々がこのような指数に編入されると、海外からの新たな資本流入が期待され、資金市場の成長の起爆剤になると考えられています。しかし、フィリピンは今年1月にグローバル・ペソ債が流動性不足により指数から除外されたため、今回の目標達成に向けては課題もあります。
現状、フィリピンの国債や社債の約4%しか非居住者が保有しておらず、インドネシアの14%、マレーシアの20%、タイの10%と比較すると低い状況です。このため、フィリピンの財務省は、非居住者投資家のために税条約の申請手続きを簡略化し、投資家が複数の税務書類を提出しなくてもよいようにする新ルールを導入しました。
現在、この簡略化した手続きは「オンボーディング段階」にあり、財務省はカストディアン銀行と協力し、投資家に情報を周知させ、登録手続きの要件を満たすようサポートしています。
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