(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の理念や歴史、地域性を軸として商品を発信する「ルーツ・ブランディング」。同じ商品を異なる場所で売り出すという新たなプロジェクトでは、商品価値を伝えるデザインも変化します。今回は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、大阪の和菓子専門店「菓匠庵白穂」を例にみていきましょう。

場所に合わせて商品価値も変化

デザインも変わるこのあんどーなつの専門店をつくるプロジェクトは、社長、アパレル企業、店舗施工会社、私たちの4つの異業種メンバーがタッグを組むことから始まりました。

 

通常のブランディングは、「調べる」「磨く」「魅せる」の3ステップで順を追って進めますが、今回はオープンまでに時間がなく、3ステップを一気に進める必要があり、それは至難の業でした。それが可能だったのは、ブランドの「商品」が確立しており、プロジェクトの「成果物」と「ビジョン」が明確であったため、4社が同じ方向を向いて進められたおかげです。

 

出店地は兵庫県芦屋市に決まっていました。兵庫県の中で最も平均収入が高く、日本有数の高級住宅街があることで知られています。「あんどーなつ」という商品は確立していましたが、出店する地域の特性によって消費者の感性やニーズも用途も違ってくるため、それに合わせたブランドの世界観を確立することが重要です。

 

「あんどーなつ」という飾らない素朴さが魅力のお菓子を、芦屋の洗練された土地柄とどのように結び付ければお客様の感性に響くのかをメンバーで考え抜きました。そこで「ゆとりあるくらしの中の、ちょっとステキなおやつ」という方向性が決まり、遊び心のあるキャラクターの起用と、そのキャラクターの姿から「あんでぃ」というブランド名も決まり、ロゴマーク・ロゴタイプが決まっていきました。

 

出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋
[画像2]「AN●D(あんでぃ)」のロゴマーク。「●」は「あんどーなつ」の丸い形状を表現。キャラクターは「あんでぃおじさん」。ユーモアのある7つのポーズをバリエーション展開に活かした 出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋

 

ここからは顧客接点である包装資材と店舗内装がそれぞれの担当者によって急ピッチで進められていきました。

 

東大阪にある菓匠庵白穂の「和菓子屋のあんどーなつ」の包装資材には、素朴な和菓子屋らしい風情があります。

 

一方で「あんでぃ」は芦屋のお客様の感性に受け容れられるよう、洒落たモダンさとキャラクターによる茶目っ気を効かせた親しみやすさのバランスに留意しました。

 

個包装は、味を選んだり食べたりするときに楽しさ・かわいらしさを感じてもらえるよう、カラフルでキャラクターが活きるデザインにしました。

 

一方で自家消費はもちろん、ちょっとしたパーソナルギフトにも使ってもらえるよう、手提げ袋とギフト箱はスマートな印象にまとめました。男女問わず好ましさを感じてもらえるようなお店を目指しています。

 

芦屋で開店したあんどーなつ専門店「あんでぃ」は、すぐに評判店となり、百貨店の催事への出店依頼が舞い込むようになりました。さらなるステップアップのため近々、横浜に移転オープンする予定です。

 

 

株式会社第一紙行 ブランディング事業部

※本連載は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋し、再編集したものです。

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