(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の理念や歴史、地域性を軸として商品を発信する「ルーツ・ブランディング」。同じ商品を異なる場所で売り出すという新たなプロジェクトでは、商品価値を伝えるデザインも変化します。今回は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、大阪の和菓子専門店「菓匠庵白穂」を例にみていきましょう。

社長のもとへ「専門店出店」の打診が

社長が和菓子をつくるうえで大切にしているのが、材料をとことん吟味し、厳選することです。

 

なかでも「和菓子の命」である自家製あんの豆選びを徹底しています。つぶあんには小豆の王様「丹波大納言」発祥の地、兵庫県丹波市春日町で栽培される「春日大納言」の手摘みで2Lサイズの豆を使用。

 

一般的に使われることが多い北海道産の大納言が1俵平均価格約5万円のところ、菓匠庵白穂で使用する「春日大納言」は、1俵約15万円と3倍の価格で購入しています。

 

また、こしあんには風味が良く色合いの美しい北海道十勝産の契約栽培小豆、しろあんは風味と口どけが良い高級白小豆とほどよい粘りが特徴の白手亡をブレンドするこだわりようです。

 

その選りすぐりの材料をふんだんに活かして、毎日食べたくなる看板商品として開発したのが「和菓子屋のあんどーなつ」です。独自の生地で口あたりがなめらかな特製のこしあんをたっぷりと包んで揚げた、一口サイズのドーナツです。

 

出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋
[画像1]菓匠庵白穂の看板商品である「和菓子屋のあんどーなつ」。国産の良質な素材だけを使用したこだわりの味 出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋

 

毎朝1,500個を揚げていますが、大体は夕方までに売り切れてしまいます。年間で数えると約50万個を売り上げるという爆発的人気を誇り、あんどーなつを目当てに来店するお客様も少なくありません。

 

私たちが社長と初めてお仕事をさせていただいたのが、このあんどーなつの専門店を立ち上げるプロジェクトでした。あんどーなつの味にほれ込んだ、とあるアパレル企業が「自分たちであんどーなつの専門店を経営したい」と社長に打診。

 

社長は東大阪以外に常設店を出店するつもりがなかったため、社長のプロデュースで、経営はアパレル企業が行うフランチャイズの形態で出店するということになりました。

 

社長自身も未経験の分野に挑戦し、これまでのノウハウを活かせる新しい方法を開拓したいと考えていたことから双方の思いが合致し、和菓子とアパレルの異業種コラボレーションが実現することになりました。

 

このプロジェクトがちょうど立ち上がる頃、私たちは社長と出会い、ロゴマークやパッケージなどブランディングに関わるデザインと資材製造を担当する制作会社として、参画することになりました。

次ページ急ピッチで進められた「あんどーなつ」の全貌

※本連載は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋し、再編集したものです。

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