(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の理念や歴史、地域性を軸として商品を発信する「ルーツ・ブランディング」。なかでもブランドの象徴となる「ロゴマーク」は、企業のコンセプトを表すため、さまざまな微調整を重ねながら作られています。今回は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より、福岡県の老舗和菓子メーカー「如水庵」のロゴマークのデザインを例にみていきましょう。

あらゆる形で、ブランドの世界観を伝える

ロゴマークとは、ブランドのらしさを具現化したものです。ロゴマークを見た人がブランドを好ましいイメージとともに記憶し、心に共感や愛着を覚える視覚的な核となります。ブランドの象徴として、10年、20年の時を経ても古く感じることなく、時代が変わっても価値を失わない普遍性をもったデザインが求められます。

 

「おふく大福」のロゴはやはり「おふくさん」がモチーフになりますが、ロゴマークは、単なるグラフィックデザインを超え、ブランドのコンセプトや戦略、ビジョンも落とし込む必要があります。そこを見極めるために、最初ロゴのアイデアとしてさまざまな方向性を考え、幅広くアイデアを提案しました。

 

出所:
[画像1]「おふく大福」ロゴマークの初回提案(一部) 出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋

 

ロゴマークで如水庵プロジェクトチームと時間をかけて議論したのは、Aのように抽象的なデザインにするか、Bのように具体的なデザインにするかということが中心でした。

 

Aは新しさがありますが、如水庵では採用したことのないデザインのテイストで多少の違和感がありました。一方Bのほうは親しみやすさがあるのですが従来と変わらないイメージのため、新しいブランドの新鮮なイメージをつくりにくいと思われました。

 

そこで、もう一度「おふく大福」ブランドの意義を話し合いました。「おふく大福」は、如水庵が受け継いできた「おもてなしの心」「技術の粋」を昇華して新しい形をつくることに挑戦するプロジェクトです。それならば、表現のうえでも「新しさ」に挑戦し、Aのデザインの方向性を基本としながら、あたたかさや親しみを感じさせる配慮をすることになりました。

 

そして、「おふくさん」の丸髷のボリュームを調整して若さと貫禄のバランスを取ったり、やさしさと芯の強さを兼ね備えた印象になるよう顔パーツを配置したりと、毎回「おふくさん」の人となりをイメージしながら微調整を繰り返しました。

 

最後に悩んだのが「如水庵の」をあえて入れるかどうかということです。議論の末、「如水庵のDNAが新しいブランドに受け継がれていることを示したい」ということで、ロゴに添えることになりました。

 

出所:
[画像2]「おふく大福」ロゴマーク決定版 出所:『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より抜粋
次ページ完成したロゴマークのゆくえは……

※本連載は、株式会社第一紙行 ブランディング事業部の著書『地域と企業の未来を紡ぐ ルーツ・ブランディング』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部抜粋し、再編集したものです。

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