7.リート
<現状>
●グローバルリート市場(米ドルベース)は、米長期金利が大きく上昇したことが嫌気され、大幅安となりました。S&Pグローバルリート指数のリターンは前月末比▲4.6%となりました。一方、円ベースのリターンは、為替効果がプラスに寄与し、同+1.6%となりました。
●米国は、長期金利が大幅に上昇したことから大きく調整しました。欧州やアジアは、長期金利の上昇や米国リートの下落を嫌気して軟調な展開となりました。日本は、銀行がリートの保有ポジションを縮小しているという需給要因もあり、下落しました。
<見通し>
●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。
●米国はFRBによる利下げ継続や景気のソフトランディングを背景に上昇基調を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う回復を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復基調を背景に緩やかな上昇を予想します。日本もオフィス賃料の改善を背景に持ち直すと予想します。
8.まとめ
【債券】
●米国の長期金利は、FRBによる利下げをある程度織り込んでいるとみられるため、当面もみ合う動きを想定しています。ただし、FRBは今後も中立金利に向けて利下げを緩やかなペースで継続すると見込んでおり、長期金利は徐々にレンジを切り下げていく展開を予想します。
●欧州の長期金利は、ECBが追加利下げを継続すると想定していることから、緩やかに低下する展開を予想します。
●日本の長期金利は、日銀が金融政策の正常化路線を維持していることから、追加利上げが警戒され、やや上昇すると予想します。
【株式】
●米国株式市場は、FRBによる利下げが開始され、米景気のソフトランディング観測が高まっていることから適温相場が続くとみています。米大統領選挙や地政学リスクの不透明感などから変動性が高まる局面が想定されるものの、電力インフラを含むAI関連投資の拡大やサービス支出を中心に消費が堅調なことによる企業業績の拡大が見込まれるため、米国株式市場は緩やかにレンジを切り上げる展開を予想しています。
●日本株式市場は、衆議院選挙での与党過半数割れを受け、野党との政策協調や来年夏の参院選に向け支持率回復のため経済対策の規模が拡大するとの期待が相場を下支えするとみています。政治の不透明感や日銀の金融正常化路線から上値が重いものの、日本企業のコーポレート・ガバナンス改革の動きは変わらず、需給面から企業の自社株買いも期待できるため、徐々にレンジを切り上げる展開を予想します。
【為替】
●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると予想します。FRBの利下げ継続と日銀の追加利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。
●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げと日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
●円の対豪ドルレートは、豪州の先行きの利下げや日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
【リート】
●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。
●米国はFRBによる利下げ継続や景気のソフトランディングを背景に上昇基調を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う回復を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復基調を背景に緩やかな上昇を予想します。日本もオフィス賃料の改善を背景に持ち直すと予想します。
石井 康之
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフリサーチストラテジスト
※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日本株は「徐々にレンジを切り上げる展開」を予想 ~先月の金融市場の振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】』を参照)。