3.金融政策
<現状>
●FRBは9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利(フェデラルファンド〔FF〕金利)の誘導目標を0.5%引き下げ、4.75~5.00%としました。FOMC参加者による金融政策の見通しは、年内残り2回の会合で0.25%で2回分の利下げを行う内容となりました。
●ECBは10月の理事会で、政策金利を0.25%引き下げることを決めました。9月から2会合連続の利下げで預金ファシリティ金利は3.25%に引き下げられました。ラガルド総裁は記者会見で、「経済成長のリスクは下振れ方向にあり、物価も下振れするリスクがある」と記者会見でコメントしました。
●日銀は10月の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物金利)を0.25%で据え置くことを決めました。植田和男総裁は記者会見で、政策判断を巡り、これまでの「時間的な余裕がある」との表現を使いませんでした。
<見通し>
●FRBは、インフレが鈍化していることや米景気に減速の兆しがみられることから、11月、12月の会合でそれぞれ0.25%の利下げを実施すると予想します。その後は概ね四半期に一度のペースで0.25%ずつ引き下げると想定しています。
●ECBは、インフレが低下していることや欧州経済が低成長を続けていることから、12月の会合でも0.25%の利下げを実施すると予想します。その後も賃金、インフレのデータを確認しながら、0.25%の利下げを続けると想定しています。
●日銀は、景気が力強さを欠いているため当面政策金利を据え置くものの、先行きは金融政策の正常化に向けて追加利上げを実施するとみています。政策金利は、25年1月に0.50%、25年7月に0.75%への引き上げを想定しています。
4.債券
<現状>
●米国の10年国債利回り(長期金利)は、9月の雇用統計が市場予想を上回り、FRBの利下げペースが緩やかになるとの観測が広がったことや、トランプ前大統領が勝利した場合のインフレ圧力の高まりが意識され、大幅に上昇しました。
●ドイツの長期金利は、ECBが10月の理事会で0.25%の追加利下げを決めたものの、米長期金利に連れた格好で上昇しました。
●日本の長期金利も、米長期金利の上昇などを受けて上昇しました。衆議院選挙後は、財政拡張への警戒感から、高止まりしています。
●米国の投資適格社債については、米景気は堅調との見方が広がり、社債スプレッド(国債と社債の利回り差)は前月比で縮小しました。
<見通し>
●米国の長期金利は、FRBによる利下げをある程度織り込んでいるとみられるため、当面もみ合う動きを想定しています。ただし、FRBは今後も中立金利に向けて利下げを緩やかなペースで継続すると見込んでおり、長期金利は徐々にレンジを切り下げていく展開を予想します。
●欧州の長期金利は、ECBが追加利下げを継続すると想定していることから、緩やかに低下する展開を予想します。
●日本の長期金利は、日銀が金融政策の正常化路線を維持していることから、追加利上げが警戒され、やや上昇すると予想します。