"すまん、金貸して”…自慢の息子が懇願した、驚きの理由
康介さんには、住宅ローンとマイカーローンで毎月22万円の支払いがあります。大企業に就職したことから給料に不満はなく、また独身の康介さんは、収入の使い道もすべて自分次第です。そのため、これまでローンの返済に困ることはありませんでした。
一方で、一人暮らしを謳歌する康介さんには「お金を貯める」という意識があまりなく、収入はほぼすべて使い切る日々を送ってきました。
そんな折、8月初旬の「日経平均の大幅下落」が、康介さんの資産を直撃しました。
今年に入って「新NISA」がスタートしたことをきっかけに、康介さんは株式投資を始めました。預金500万円の8割にあたる400万円を、いくつかの個別株投資へ振り分けたそうです。
年初から日経平均株価の続騰により、順調に含み益を増やしていた康介さんでしたが、ここに来てあの大暴落です。もともと、投資機運に乗り遅れまいと十分な勉強をせずにスタートしていたこともあり、いわゆる"狼狽売り”で株を手放してしまいました。その結果、投資資産は25%ほど目減りし、400万円が300万円に。仕事を辞めてから無収入だった康介さんは、「このままではローンがまずい」と、帰省を決断したようです。
3人での暮らしが始まってしばらく経ち、ある日の夕食後に、康介さんはその重い口を開きました。「すまん。申し訳ないんだけど、お金貸してくれない?」。
「なにがあったのかわからないけど、いくら必要なの?」と母が尋ねると、「500万円」だといいます。「いまのままだと、ローンの返済がかなり厳しくなりそうでさ……。次の就職先が決まったら、必ず返すから」。
息子から見ると、両親は余裕のある生活をしているように見えたのかもしれません。しかし、杉田さん夫婦は25万円の年金収入で慎ましく生活している夫婦ですので、康介さんが思うほどゆとりはありません。
息子が帰ってきてから、食費や光熱費、日用品代など、生活費は当然増えています。年金だけでは足りないため、預金から取り崩している状況です。2人は悩みましたが、愛する一人息子が恥を忍んで頼み込んでいるのですから、断ることはできません。老後資金を使い込むことに不安がないとは言い切れませんが、夫婦は息子の言うとおり、預金から500万円を融通することにしました。
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