(※写真はイメージです/PIXTA)

十分な退職金と年金収入で老後生活の見通しが立っている場合、「定年後は働かずにゆっくり過ごしたい」と考える人も多いのではないでしょうか? 70歳の杉田さん(仮名)も、定年後「年金暮らし」を選択したうちの1人です。しかし、慎ましい老後を過ごしていても、「想定外の出来事」で老後破綻危機に陥ってしまう可能性があると、CFPでFP事務所MIRAI代表の山﨑 裕佳子氏はいいます。夫婦が危機に陥った驚きの理由について、本記事で詳しくみていきましょう。

静かな老後が一転、「老後破綻」に怯える暮らしに

このまま息子との同居が続いた場合、毎月4万円~5万円は赤字になりそうです。仮に5万円ずつ預金を取り崩した場合、1年で60万円ずつ資産が目減りすることになります。

 

また、生命保険文化センターの調査※3によると、日本人の健康寿命は男性で72.68歳、女性は75.38歳となっています。現在は夫婦ともに健康ですが、年齢から考えると、この先遠くないうちに介護が必要となるかもしれません。

 

同調査によると、要介護となった場合、介護費用の月額平均は在宅介護で4.8万円、施設介護で12.2万円ですから※4、大事な老後資金を食いつぶすいまの状況は、不安になるのも無理はありません。

 

穏やかな生活から一転、息子の帰省により、老後破綻に怯える毎日となってしまいました。

 

最優先すべきは、息子の頼みよりも「自分たちの生活」

一人息子可愛さに助けてあげたい親心はわかりますが、杉田さん夫婦が最優先で考えるべきは、自分たちの資産を守ることです。

 

息子さんの退職と、投資の失敗はあくまで自己責任です。康介さんはすぐに次の仕事を見つける必要があります。住宅ローンやマイカーローンの支払いに窮するのであれば思い切って売却を考えるなど、次の手を講ずる必要がありそうです。

 

同居が長くなるようであれば、生活費を一部負担してもらうことも考えてもらいましょう。夫婦の資産防衛のために必要なことです。

 

また、お金を貸す場合は親子間でも「借用書」を作成することをおすすめします。年間110万円を超える資金の移動は、贈与税の対象となるためです。

 

お互いが自立した状態にあることを前提に、可能な範囲でサポートし合えることが理想です。

 

<参考・出典>
※1 総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要 」P18 
(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2023.pdf)

※2 厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要 3 転職入職者の賃金変動状況(表6-1)」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/24-1/dl/kekka_gaiyo-03.pdf

※3 公益財団法人生命保険文化センター「健康寿命とはどのようなもの? 」
(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1160.html)

※4 公益財団法人 生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1116.html)

 

 

山﨑 裕佳子

FP事務所MIRAI

代表

 

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