定年後、年金暮らしで幸せな老後を送る夫婦だったが…
成人年齢とは裏腹に、自立するスピードは遅くなっている?
成人年齢が18歳に引き下げられてから約2年が経過しました。しかし反対に、昔と比べて子どもが精神的自立や経済的自立を獲得してくれるまでの期間は長くなっているように感じます。
家族ですから、困ったときに助け合うのは当然ですが、自分たちの生活を脅かすほどの援助は再考したほうがよさそうです。
子育てはとっくに終わったはずの70代夫婦のもとに帰ってきた、「自慢の息子」。予想外の出来事を契機に、夫婦が「老後破綻」に怯える日々が始まることに……。
年金収入の範囲内で穏やかに暮らす杉田さん夫婦
杉田正さん(仮名・70歳)は、同い年の妻と千葉県内に暮らしています。正さんは専門学校を卒業後、自動車整備士として、定年まで真面目に勤めあげました。現在は年金暮らしです。
また2人には、ひとり息子の康介さん(仮名・43歳)がいます。夫婦の住まいは、康介さんが小学校へ上がるタイミングで購入した建売住宅です。住宅ローンは定年までに完済し、資産はコツコツ貯めた預金と退職金を合わせて2,000万円ほどあります。
総務省の家計調査報告(2023年)※1によると、65歳以上の夫婦のみ高齢者無職世帯の実収入(老齢年金+その他)の平均額は24万4,580円。対して、税金や社会保険料を含めた支出平均額は28万2,497円となっています。
ただし、上記のデータはあくまで平均値であり、実際の家計収支は人それぞれ異なります。
現在の杉田家の収入は、月25万円の年金収入のみです(夫:月19.5万円、妻:5.5万円)。夫婦は消費意欲がそれほど高くなく、お金のかかる趣味もないため、夫婦2人の生活費は年金の範囲内で賄えています。
幸い、夫婦ともに大きな病気をしたこともなく、持病もありません。2人はそれぞれ、ボランティア活動や地域のサークルなどに参加し、穏やかな老後生活を楽しんでいました。
しかし、そんな生活がある日を境に、大きく変化することになります。
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