(※写真はイメージです/PIXTA)

十分な退職金と年金収入で老後生活の見通しが立っている場合、「定年後は働かずにゆっくり過ごしたい」と考える人も多いのではないでしょうか? 70歳の杉田さん(仮名)も、定年後「年金暮らし」を選択したうちの1人です。しかし、慎ましい老後を過ごしていても、「想定外の出来事」で老後破綻危機に陥ってしまう可能性があると、CFPでFP事務所MIRAI代表の山﨑 裕佳子氏はいいます。夫婦が危機に陥った驚きの理由について、本記事で詳しくみていきましょう。

愛息が5年ぶりに帰省。その理由とは?

杉田さん夫婦にとって、康介さんは自慢の息子です。幼いころから勉強もスポーツも得意で、高校卒業後は都内の有名私立大学に進学しました。「就職氷河期」といわれる時代に就職活動を余儀なくされたものの、康介さんは高い倍率を突破し、上場企業の事務機器メーカーに入社。正社員として雇用されました。

 

息子から内定の連絡を受けた夫婦は、2人とも大喜び。息子の成功を心から喜ぶ一方で、「これで肩の荷が下りた」と、長きにわたる子育てが終わり内心ほっとしたそうです。

 

月日が経ち、今年で43歳になった康介さん。ここ5年ほどは仕事が忙しいために、実家に帰ることもなくなっていましたが、数ヵ月に1度はLINEで連絡を取り合い、お互いの安否確認をしていました。

 

なかなか帰ってない息子に寂しい気持ちはあったものの、「便りのないのはよい知らせ」と、息子に対して特に不満や不安を感じることはありませんでした。

 

そんな息子から、お盆を過ぎたころ突然連絡が入りました。「もしもし? 今度の週末、久しぶりに帰るよ。ちょっと相談したいことがあってさ」。

 

康介が5年ぶりに帰ってくる! 愛する息子の久々の帰省に心を躍らせる一方で、なにかあったのかと2人は心配しながら帰りを待ちました。

 

数日後。疲れた顔で姿を現した息子は開口一番、次のように言いました。

 

「実は俺、ちょっと前に会社辞めたんだ」

 

聞けば、他部署から異動してきた上司とそりが合わず、2年ほど前から人間関係に悩んでいたようです。「しばらく頑張ってみたんだけど、思い切って辞めることにした」と康介さんはいいます。

 

また、「俺くらいのキャリアとスキルがあるなら、もっといい条件で好待遇の職場に移れるんじゃないかと思うんだよね」と、いまの職場から離れ転職を考えているそうです。

 

実際、厚生労働省の「雇用動向調査」※2によると、転職した人のうち賃金が前職より上がった人の比率は、若い世代ほど高いことがわかっています(図表)。

 

出所:厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要 3 転職入職者の賃金変動状況(表6-1)」
[図表]転職入職者の賃金変動状況別割合(令和5年上半期) 出所:厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概要 3 転職入職者の賃金変動状況(表6-1)」

 

康介さんの年齢である40歳~44歳の区分をみると、転職後に前職より賃金が増加した人が43.9%、減少した人が26.1%と、賃金が増えた人のほうが多いことがわかります。

 

ただし、転職後に賃金が上がるのは40代まで。50代以上になると、逆に、転職後の賃金が減少する人の割合が増えています。こう考えると、康介さんはいいタイミングで転職を決意したといえます。

 

相談というよりは事後報告でしたが、いい大人である息子がそこまで言うならと、夫婦は納得。正さんは、「そうか、わかった。仕事が決まるまで、しばらくこっちでゆっくりしたらいい」と言いました。

 

数十年ぶりに、親子3人での生活です。共同生活もあまり長くないだろうと思っていたため、特に生活費について話し合うことはなく、夫婦が負担することにしました。

 

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