(※写真はイメージです/PIXTA)

「孫のために資産を使いたい」と願う人が活用できる「教育資金の贈与」に関する制度。非課税枠は、受贈者(資産を贈られる人)1人あたり1,500万円の枠が与えられ、贈与税が掛からずに孫にお金を贈ることができる制度です。しかし、本制度を利用して後悔するケースもあって……。本記事では、安達さん夫婦(仮名)の事例とともに、教育資金の一括贈与の注意点についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

子供夫婦のために贈与

安達憲介さん(仮名/75歳)は大手企業に長年し、妻の裕子さん(仮名/71歳)とリタイア生活を送っていました。

 

安達さんには長男、長女の2人の子供がいて、それぞれに家庭を持ち3人の孫たちがいます。5年ほど前に長男の転職と、子供たちの習い事の費用が増えてきたことが重なり、家計が苦しくなっていきます。

 

そんな時期に、教育資金の贈与に関する制度のことを知りました。本来であれば年間110万円を超える贈与については贈与税の対象となるのですが、この制度を利用することで非課税で教育資金を一括贈与することが可能です。

 

「これはありがたい! 年金も2人で月30万円ももらえてるし、生活費も十分足りるだろう」と、早速銀行で口座を開設。残りの資産6,000万円のうち3人の孫たちに1,500万円ずつ、計4,500万円を贈与することにしたのでした。

 

しかし、それから8年が経過したいま、安達さんにとっては予想外のことが起きてしまいます。

 

住宅のリフォーム、夫の介護

安達さんはスーパーの買い物の途中、店内で転んでしまい大腿骨を複雑骨折しました。そして、骨折した足は回復が難しく、車いす生活に。それに伴い、自宅のバリアフリーリフォームが必要となり、屋根や外壁などほかの部分についても大規模リフォームが必要となり、総額で1,000万円近くの資金が必要となっていました。

 

残りの資金もすでに1,000万円ほどに減ってしまっていて、今後の介護費用や、裕子さんの今後の生活費も考慮すると、それだけの費用を支出するのは不安が大きいです。

 

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