※画像はイメージです/PIXTA

相続税を計算するとき、重要なのは土地の評価額。計算では「奥行価格補正率」が大きく関わっており、なんと最大20%も減額できる可能性も。税理士が解説します。

実際によくある土地の形状5つの事例

実際には、間口がどこになるのか、奥行はどのように計算するのか、判断に迷うことも少なくありません。計算方法を間違えると土地の評価額にも影響するため、正しい方法を知っておかなければなりません。いくつか具体例をあげて説明します。

 

■ケース① 曲がった道路に面している場合(1)

 

[図表7]
[図表7]

 

このような土地の奥行距離はどのようにして求めればよいでしょうか。この土地に面する道路は途中で曲がっていて、奥行は一様ではありません。順を追って見てきましょう。

 

STEP1.間口距離を計算する

奥行距離を求めるために、まず、間口距離を計算します。間口距離を計算するためには、想定整形地と呼ばれる長方形の土地を作成します。A路線を基礎とした想定整形地とB路線を基礎とした想定整形地を作成し、いずれか面積が小さいほう(この例ではA路線を基礎とした想定整形地)を間口距離の計算に使用します。

 

[図表8]
[図表8]

 

さらに、次のいずれか短いほうの距離を間口距離とします。

 

・想定整形地(A路線を基礎とした想定整形地)の間口に相当する距離:27m

・評価対象地が道路に実際に面している距離:15m(a)+13m(b)=28m

 

27m<28mであることから、この土地の間口距離は27mとなります。

 

[図表9]
[図表9]

 

STEP2.奥行距離を計算する

 

この土地は奥行が一様でないため、次のいずれか短いほうの距離を奥行距離とします。

 

・土地の面積390㎡÷間口距離27m=14.44m

・想定整形地の奥行距離:15m

 

14.44m<15mであることから、この土地の奥行距離は14.44mとします。

 

[図表10]
[図表10]

 

■ケース② 曲がった道路に面している場合(2)

 

[図表11]
[図表11]

 

このような土地の奥行距離はどのようにして求めればよいでしょうか。図では奥行距離が示されていますが、ケース①と同様、奥行は一様ではありません。

 

STEP1.間口距離を計算する

ケース①と同様に、間口距離を計算します。次のような想定整形地を作成し、最も面積が小さいものを間口距離の計算に使用します。

 

・A路線を基礎とした想定整形地

・B路線を基礎とした想定整形地

・評価対象地の境界とA路線との接点XとB路線との接点Yとを結ぶ直線XYを基礎とした想定整形地

 

この場合は、A路線を基礎とした想定整形地を採用します。

 

[図表12]
[図表12]

 

さらに、次のいずれか短いほうの距離を間口距離とします。

 

・想定整形地(A路線を基礎とした想定整形地)の間口に相当する距離:20m

・評価対象地が道路に実際に面している距離:12m(a)+10m(b)=22m

 

20m<22mであることから、この土地の間口距離は20mとします。

 

[図表13]
[図表13]

 

STEP2.奥行距離を計算する

この土地は奥行が一様でないため、次のいずれか短いほうの距離を奥行距離とします。

 

・土地の面積240㎡÷間口距離20m=12m

・想定整形地の奥行距離:16m

 

12m<16mであることから、この土地の奥行距離は12mとします。

 

[図表14]
[図表14]

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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