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相続税を計算するとき、重要なのは土地の評価額。計算では「奥行価格補正率」が大きく関わっており、なんと最大20%も減額できる可能性も。税理士が解説します。

奥行価格補正率とは路線価の調整的な役割

「奥行価格補正率」とは奥行きが長く、使いにくい土地の評価を下げる減額補正率です。正確な表現でいいますと、道路からの奥行の長さに応じて路線価を調整するための補正率のことを言います。奥行価格補正率はイメージしづらいので、どのような目的で奥行価格補正率を使うのかまず最初に具体例を見ましょう。

 

図表1のように面積が同じである2つの土地があった場合、土地Aのほうが利用しやすいと考えられます。

 

[図表1]面積が同じでも形状が異なる場合
[図表1]面積が同じでも形状が異なる場合

 

Aは利用しやすく、Bは利用がしにくい土地という差があるにも関わらず、路線価×面積で評価額を求めると、同じ価値になります。そこで、Bのように道路からの奥行が極端に長い場合(短い場合)は、土地を利用しづらい、つまり価値が低いということで、奥行価格補正率を使うことで土地の評価額を下げる計算が可能となります。

 

土地の形状を考慮して土地の評価で奥行価格補正率を使用するときは、次の算式で土地を評価します。

 

土地の評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 面積

 

多くの人は、路線価で計算する土地の評価は「路線価×面積」と考えています。土地の形状を考慮することはあまり知られていません。土地の形状を考慮して土地の価額を評価できることを知らなければ、路線価と面積が同じであれば評価も同じであると考えてしまいます。

 

たとえばBの土地を相続した場合、土地の形状を考慮すれば土地の評価額を下げられるにもかかわらず、高い価額のままで評価することになってしまいます。高いままで評価された価格をもとに相続税を計算したために、本来納めなくてもよい税金を納めていたケースもあります。土地を正しく評価するために考えなければならないことは、土地の奥行の長さがどれぐらいあるかという点なのです。

 

奥行価格補正率は評価額を最大20%減額することが可能

奥行価格補正率を使用すると、土地の評価額が引き下げられるため、相続税を節税することができます。奥行価格補正率は0.80から1.00の範囲で定められています。つまり、奥行価格補正率によって土地の評価額が下がることはあっても上がることはありません。

 

たとえば奥行が極端に長いと奥行価格補正率は0.80となり、評価額を20%減額することができます。

 

奥行価格補正率は土地の所在地と土地の形状によって異なってきます。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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