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賃貸アパートやビルなどの建物が建っている「貸家建付地」を相続した場合、相続税評価はどうなるのでしょうか。実は「貸家建付地の評価額」は通常の土地に比べ評価が低く相続税の圧縮につながるのだとか。税理士が解説します。

貸家建付地(かしやたてつけち)とは!?

 

[画像]貸家建付地
[画像1]貸家建付地

 

賃貸アパート等が建っている敷地のことを「貸家建付地」といいます。厳密に説明すると、亡くなった人が所有していた土地及び建物があり、その建物を人に貸しているような状態にある、土地のことを「貸家建付地」といます。

 

土地の上に建物がなければ、貸家建付地にはなりません。さらに、人に“タダで”貸していても貸家建付地にはなりません。また、土地は亡くなった被相続人が保有しているが建物は他の人が持っているような場合も原則、貸家建付地には該当しません。

 

例として賃貸アパートと書きましたが、マンションの1室や一戸建て等を人に貸している場合の、その敷地部分についても貸家建付地として評価をすることになります。

貸家建付地の相続税評価の基本

まず、基本的な貸家建付地の相続税評価方法を解説していきます。

 

土地の相続税評価は、“時価”、つまり相続開始日(死亡日)時点で換金したらいくらになるのかという考えに基づいてその評価方法が定められています。

 

未利用の土地であったり、自己利用の土地であったりすれば、所有者の意思のみですぐに売却することが可能ですが、第三者に賃貸している建物が建っている場合にはそう簡単にはいきません。建物に居住している賃借人の借家権が生じているからです。

 

そこで、相続税評価を行う上では、居住者の借家権部分を一部考慮することで、評価額を減額することができる規定となっています。“すぐに売れない”=“換金価値が少し下がる”とう考えに基づいています。

 

貸家建付地評価の計算式

自用地とした場合の価額 - 自用地とした場合の価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

 

貸家建付地の相続税評価の基本的な計算式は以上の通りとなりますが、各項目について具体的に以下で解説していきます。

 

・自用地とした場合の価額

 

自用地というのは、自分で使っている土地や未利用の土地のことをいます。つまり、第三者に貸していない状態であった場合には当該土地の相続税評価はいくらかになるのかを求める必要があります。

 

土地の相続税評価には、一般的には路線価に基づいて評価を行います。

 

・借地権割合

 

借地権割合は、地域ごとに路線価図により定められています。路線価図にA~Gの希望で定められており、以下の表の割合で借地権割合が決まっています。

 

[図表1]借地権割合
[図表]借地権割合

 

たとえば、以下のように380Cと記載のある道路に面した土地については、C=70%であり、つまり借地権割合は70%となります。

 

[画像2]借地権割合が70%の土地
[画像2]借地権割合が70%の土地

 

・借家権割合

 

借家権割合は、全国一律で30%となっています。

 

ひと昔前は、大阪では40%とった具合に割合が異なるケースもありましたが、現在では全国一律で30%となっています。

 

・賃貸割合

 

たとえば、アパートの部屋が10部屋あって、そのうち5部屋が賃貸で貸していて残り5部屋は空室であるような場合にはこの賃貸割合は10分の5、つまり50%となります。

 

土地の上に立っている建物のうち、何%を貸しているかということを表します。厳密には貸している部屋の床面積で計算を行います。2部屋あって、貸している部屋が50m2、貸していない部屋が150m2であった場合には、賃貸割合は200分の50となり、賃貸割合は25%ということになります。

 

貸家建付地評価の具体例

【前提条件】

・地積(面積):100m2

・部屋数10部屋の貸アパートの敷地

・10部屋の広さは同じで、このうち8部屋は賃貸しているが2部屋は空室

・路線価図上、150Cの路線に面している

 

以上のような前提条件の土地について、貸家建付地評価を行ってみましょう。

 

順番に以下の算式に当てはめていきます。

 

自用地とした場合の価額 - 自用地とした場合の価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

 

「自用地とした場合の価額」は、各地補正等を省略し、ここでは100m2×150千円=1,500万円とします。

 

次に借地権割合は、路線価図上の記号がCということで70%となります。そして、借家権割合は一律30%。賃貸割合は、10分の8、つまり80%。以上を当てはめると、

 

1,500万円 - 1,500万円 × 70% × 30% × 80% = 1,248万円

 

と答えを導くことができます。
 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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