(※写真はイメージです/PIXTA)

大事にとっておきたい退職金。できることなら、長生きリスクが待ち受ける老後の後半戦まで温存しておきたいという人も多いでしょう。しかし、予期せぬ事態により、あっという間に使い果たしてしまうことも……。本記事では、田辺さん(仮名)の事例とともに、子が親の老後におよぼす影響についてFP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。

じわじわ減っていく2,000万円

田辺さんの援助から半年が経ち、1年が経っても、紗香さんの企業はほとんど売上に繋がりません。

 

それどころか、会費だけでなく紗香さんはSNSをもっと上手に使おうと運用代行に依頼します。また、異業種交流会に入って自分の活動を広めたいと言い、入会金や月会費が必要と支出を増やしていきます。さらに、異業種交流会に入ると同じ会の仲間の店に行ったり、仲間のサービスを受けたりと、売上にはなかなか繋がらないものの出費だけが増えていくようになっていきます。

 

「このまま売上にならないようなら、もう高いお金を払うのはやめたほうがいいんじゃないか?」

 

田辺さんは紗香さんに言いますが、紗香さんはすっかりコンサルタントを信じてしまっており、「もうすぐだから。いま辞めてはもったいない」といつまでも成果に繋がらないままズルズルと続けていきます。

 

その後、2年、3年と経過しても、年間で数万円の収入を得られるようになった程度で、実を結ぶことはありません。ついに、田辺さんの老後の資産も残すところ300万円程度にまで減ってしまっていたのでした。

 

「もうこれ以上は無理だ……」田辺さんは紗香さんに告げます。

 

現在の娘の様子

資金源を失った紗香さんは売上にならないままカウンセラーとしての独立を諦めました。そして、自分のために老後の資金をほとんど使い果たしてしまった両親のために、パートから派遣社員に切り替えて働きはじめ、決して多くない給料から両親の家計を支えることになったのでした。

本当に子を思うなら

現在は副業解禁の動きが進み、フリーランスとしての働き方も増えてきています。そういった起業家に向けたコンサルティングを行う人も多く、SNSのアカウントではコンサルを受けた人が成功して稼いで、海外で活動をする華々しい様子などがアップされているものも。「自分もこんな風になりたい」と、影響を受ける人も多いでしょう。

 

しかしなかには、今回のように高額な費用が掛かるコンサルもあり、当然ながらそれを受けたからといって必ず成果が得られるというわけではありません。

 

事例の田辺さんは、安易に資金援助を行い、止めるに止められなくなり、老後の資金を使い果たしてしまったことが大きな問題でしょう。援助をするのであれば、娘のために出しても問題のない上限額をあらかじめ決めて、それ以上はもう出せないとしっかり線引きするべきです。それでも続けたいという本人の意思があるのならば、自分でお金を工面させるべきです。

 

高額なコンサルにお金を払う前に、情報収集の方法を学ぶところから始め、自分でしっかり事業計画を考え、まずはお金を掛けずにできるようSNSなどを活用して試験的にスタートしてみたり、今回のような業種であればパートをしながらまず始めてみて、コツコツと実績を積み上げていったりするなど、選択肢はたくさんあります。

 

親としてして娘のために協力してあげたいと思うのならばお金を出すのではなく、一緒に情報を得て、無理せずに始められるところから始められるように教えてあげることもできたはずです。

 

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