日本の「相対的貧困率」は先進国で最悪の水準
2023年後半、日本の「相対的貧困率」が先進国で最悪の水準であることが報道され、話題となりました。
相対的貧困率とは、等価可処分所得(世帯の年間可処分所得を世帯人員で調整したもの)の中央値の半分にあたる「貧困線」に満たない世帯員の割合を指します。生活に最低限必要なものを買えるだけの年収に達していない「絶対的貧困」とは異なり、相対的貧困は社会の大多数よりも貧しい状態にある人を示しています。
同年7月に厚生労働省が発表した「2022(令和4)年国民生活基礎調査」によると、直近の貧困線である年収127万円に届かない世帯員の割合、いわゆる相対的貧困率は15.4%となりました。つまり日本国民全体では6.5人に1人が貧困層なのです。この数字がOECD諸国と比べて高い水準にあり、ワースト10にランクインしていることが今回の報道のきっかけとなりました。
なかでも、近年貧困率の高さが問題視されている韓国の2012年における貧困率は18.3%と、OECDのなかでもかなり高い水準でしたが、直近2021年には15.1%に改善し、日本(15.4%)よりも低くなりました。日本における2012年の数字は16.1%であり、この約10年で若干の改善がみられますが、改善幅が比較的小さいことが見て取れます。
日本の相対的貧困率の内訳をみると、「子ども」(17歳以下)の相対的貧困率は11.5%、「子どもがいる現役世帯」は10.6%と、いずれも年々改善傾向にあり、直近では全体より低くなっています。
しかし、そのうちの母子世帯など「子どもがいて大人が一人世帯」の世帯員では割合が44.5%にのぼる厳しい結果となりました。年収127万円以下ということは、月約10万円の収入にとどまるということになりますが、それが一人親世帯員の半分近くいるのは驚かずにはいられません。
ほかにも、「高齢者」(66歳以上)の相対的貧困率は20.0%であり、一人親世帯員ほど割合は高くないものの全体の15.4%を5ポイント近く上回っています(直近は2018年のデータ)。働きづらい、もしくは働けない層で貧困率が比較的高いことが分かります。
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