「美男美女税」や「不器量補助金」なぜ話題に?
例年、秋から冬にかけて「美男美女税」や「不器量補助金」が話題になってきます。
特に3月の就職説明会の解禁を前にした学生の間で広がりやすい傾向があります。そのためのプチ整形が流行るのもこのタイミングで表われてきます。一種のルッキズムとも言えますが、過去には美男美女税をテーマにしたテレビドラマが作られたこともありました。
「美男美女税」や「不器量補助金」は労働経済学の分野において重要なテーマのひとつともなっています。日本では少ないですが、アメリカでは容姿や外見と所得との関係を調べた研究が多く行われてきました。
これまでの研究成果からは、学歴や人種、年齢など所得に与える要因を除いたとしても、周囲から美男美女にみられる人と不器量とみられる人との間で、前者の方が統計的にみて所得は高くなるという結果が得られています。
ダニエル・ハマーメッシュ・米テキサス大学教授の研究によると、男性は美男子の方が不器量な人よりも年収が約17%分の開きがあり(美男子は並の男性より4%高い年収となるプレミアムと、不器量な男性は並の男性より13%低い年収となるペナルティの合計)、生涯賃金では23万ドル(約3,450万円)の違いがあるのです。
女性においても美女の方が不器量とみられる人よりも年収の12%分(8%のプレミアムと4%のペナルティの合計)の開きがあるとされています。そのため、「美男美女税」や「不器量補助金」は、機会均等の観点から、容姿の差による所得格差を是正する手段として主張されてきました。
もちろん俳優やモデルなど美男美女がより高い所得を得ることに合理的な理由がある職種も存在しますが、多くの場合は仕事と容姿との関連性は見出しにくいでしょう。
なぜこのような問題が経済学で重要になるかというと、経済全体の生産性にかかわってくるためです。
先天的な要素も大きい容姿や外見が重視されると、企業、さらには経済全体の生産性を低下させることにつながるからです。そのため、外見の良い人から「美男美女税」を徴収し、悪い人に「不器量補助金」を支給する、という所得再分配政策が議論されることになるのです。
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