(※写真はイメージです/PIXTA)

名義人が死亡したことがわかると、銀行は口座を即座に凍結してしまいます。この凍結が解除されるまでは、預金を引き出すことができず、必要な手続きを踏むことが求められます。そのため、ルールを知らないままだと、いざというときに焦ってしまう可能性があります。本稿では、凍結された口座から預金を引き出す方法や、口座凍結前に預金を引き出して法的に問題ないのかなど、亡くなった人の預金口座に関する疑問について、分かりやすく解説します。

口座凍結前に預金を引き出して法的に問題ないのか

銀行口座にある預金はその口座名義人のものなので、ほかの人が引き出した場合には何らかの犯罪(詐欺・窃盗・横領など)に該当する可能性も考えられますが、一定の親族間での窃盗や横領に相当する行為があっても、基本的には警察が介入することはないので、現実的に問題になる可能性はないと考えていいでしょう。

 

ただし、不当利得返還責任(民法台703条)や、不法行為の損害賠償責任(民法709条)などの民事上の責任は問われる可能性があります。

 

不当利得返還責任とは、他人から法的に理由のない利益を得た場合に、得た利益を返還する責任のことをいいます。不法行為責任は、故意・過失によって他人の権利を侵害した場合に、その損害を賠償する責任のことをいいます。ほかの相続人の相続分を侵害する預金の引き出しは控えるべきでしょう。

 

また、もし相続放棄をしたい場合には、亡くなった人の預金の引き出しは控えた方がいいでしょう。引き出した預金の使い道によっては、単純承認をしたとして、相続放棄ができなくなる可能性があります。

預金の相続でよくあるトラブル

預金の相続にはトラブルがつきものです。預金を引き出す際の注意点や、相続人の一人が預金を使い込んだ場合の対処法などについて解説します。

死亡直前・直後に預金を引き出す際の注意事項

死亡直前・直後に預金を引き出す際は、他の相続人に使い道や金額を知らせておきましょう。報告がないと、ほかの相続人が不信感を抱き、その後の遺産分割協議手続きなどの際トラブルになる可能性があります。

 

また、相続分以上のお金をおろすことは避けましょう。ほかの相続人の相続の権利を侵害することになってしまいます。いくらおろしたかわかるように記録を残しておくことも重要です。

相続人の一人が故人の預金を使い込んだ場合の対処法

相続人の一人が故人の預金を使い込んでいた場合、相続人間で話し合いができれば、遺産分割手続きの中で使い込み額を反映した遺産分割協議を行います。任意での話し合いができない場合には、遺産分割手続きとは別に裁判所での手続きが必要になる場合があります。

 

被相続人の預金は、相続によって相続人全員の共有となります。そのため、相続人全員で預金を使い込んだ人物に対して、不当利得返還請求や不法行為に基づく損害賠償請求を求めていくことになります。

相続問題で悩んだら専門家に相談する

被相続人の生前に聞いていた預金の額と、亡くなった後に実際に残っている預金の額が大きく違っていた場合など、ほかの相続人の使い込みが疑われるようなケースは少なくありません。こうした疑念があると、相続人間で不信感がつのり、感情的なトラブルに発展する可能性が高くなります。

 

早めに専門家である弁護士に相談し、事前に準備をしておくことをおすすめします。

 

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