(※写真はイメージです/PIXTA)

医療機関に電話するシーンを思い浮かべてください。身体のトラブルを抱えながら電話をしているのに、なかなかオペレーターにつながらなかったり、思うように診察の予約が取れなかったりして、イライラした経験がある人も多いでしょう。医師は患者が希望する場合、正当な理由がなければ、診療を行わなければならないという原則(応召義務)がありますが、時として病院の処理能力を超える電話というアナログな部分がネックになることも。本記事では、病院で活用される「AI予約電話」を通じて、DXが進む医療機関の今後を、医療法人徳洲会、湘南鎌倉総合病院・事務長である芦原教之氏が考察していきます。

真のニーズを捉えたDXを

AI予約電話の導入とともに、患者さんとの通話記録を管理するPC上のインターフェースも使いやすいものにしました。必要な要素を盛り込んだ機能面もさることながら、患者さんごとの対応状況なども色分けされていて、直感的にわかりやすいのが特徴です。ずっと業務で使い続けるものであるだけに、UIUX面にも必要なリソースをかけて、ストレスなく使えるようにしておくことも、実はかなり大切なことだと感じています。

 

(筆者提供)
[図表3]パソコン上の「通話詳細」画面のデモイメージ (筆者提供)

 

もう1つ改めて感じているのは、事業者と医療機関が互いに深いレベルでの意見交換や情報交換をして相互理解を深めていくことの大切さです。

 

最近では、医療DXや病院DXに特化した情報サイトや各種のITニュースを配信するサイトもあります。医療機関としてもつねに最新の技術動向や他院の成功事例などに学びながら事業者の方との建設的な議論を展開するための材料を得ておくことも同様に重要です。

 

事業者がAIなどのテクノロジーを医療業界に導入しようとした結果、医療機関のニーズから外れた製品ができてしまうことが多く見受けられます。こうした不本意な開発に陥らないためにも、医療機関と事業者が深いレベルで意思疎通を図ることが大切で、「真のニーズ」を捉えたソリューションに練り上げるうえでもっとも重要なことだといえるでしょう。
 

 

 

芦原 教之 

医療法人徳洲会 湘南鎌倉総合病院 

事務長

 

 

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