がん罹患後に森永氏が思う「やっておくべきだったこと」
いままでお金の専門家としても仕事をしてきたのでとても恥ずかしいのだが、私は自分の収入には無頓着だった。
テレビの出演料や本の印税はすべて私の会社に入れており、会社からは役員として定額の給与をもらっているだけだ。そのため会社には比較的大きなお金があるのだが、個人としてはさほどでもない。しかも理由はよくわからないのだが、税務署との関係で、役員の給与は年度途中で勝手に増額できない。それでも、がんとの闘いが数年にわたって続くことはあまりないので、やりくりをすれば資金はなんとかなるだろうと考えた。
もちろん、がん保険に加入しておけば、自由診療を受けることになっても安心だとは言える。ただ、私はがん保険に加入していなかった。なまじ高額療養費制度の存在を知っていたものだから、保険診療の範囲内であれば、まったく問題はないと考えていた。まさか、自分が原発不明がんになるとは夢にも思っていなかったのだ。
だから、私のような原発不明という特殊なケースが起きた場合や、無理をしてでも延命をしなければならないことが想定される場合は、お金をある程度貯めておくか、がん保険の加入を検討しておくことが必要になるだろう。
話が混乱するかもしれないが、私は「医療保険やがん保険に入ったことがない」とメディアに伝え続けてきたものの、じつは会社が私にがん保険をかけていたことが、その後、判明した。もし私が1年以内に死亡すると、会社は結構な金額の保険金を受け取ることができるので、会社の経営は安泰だ。ただ、その保険金は、会社のものなので、私の治療費を払うことには使えないのだ。
いずれにせよ、がんとの闘いは、かなりの確率であと半年以内に決着するだろうと思う。
自由診療の治療費は、著書という“遺書”を残し、ラジオリスナーとの交流を守り、そしてゼミ生を育てるために支払ったコストだと考えている。
森永卓郎
経済アナリスト
獨協大学経済学部 教授
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