前回は、ビジネスにおける「心理学」の重要性について説明しました。今回は、高齢者市場へのビジネス展開が、必ずしもチャンスにはならない理由を見ていきます。

2055年をピークに、高齢者市場は縮小へ!?

日本は今、4人に1人が65歳以上の高齢者という時代になり、いわゆる高齢者ビジネスが盛況です。多くの企業が「高齢者市場」にビジネスチャンスが広がっていると考えているようです。

 

しかし、私の見方は少し違います。もちろん高齢者を視野に入れたビジネス展開は不可欠ですが、傾倒していくのは少し危険なように思っています。なぜなら、高齢者人口もそのうち減っていき、高齢者市場は縮小していってしまうからです。

 

国連の「日本の世代別人口比率推定(2015年)」を見てみると、2055年あたりをピークに高齢者の比率が減少に転じていくことがわかります。

 

[図表]日本の世代別人口比率推定

出典/ World Population Prospects, the 2015 Revision
   (国連事務局経済社会局『世界人口の見通し、2015 年改訂版』)
出典/ World Population Prospects, the 2015 Revision
       (国連事務局経済社会局『世界人口の見通し、2015 年改訂版』)

 

つまり、高齢者だけを相手にしていると、いずれはビジネスが行き詰まってしまう可能性が高いということです。

「若者」にも訴求できるビジネスモデルを考える

会社を長く続けていくつもりがなく、自分の代で終わっても構わないという場合はそれでもいいのかもしれませんが、私などはできれば未来永劫、会社を存続させたいと思っています。ですから、ビジネスの対象を高齢者に絞るのではなく、若者にも訴求できるモデルにしておく必要があると考えています。

 

リフォームの需要には世代はあまり関係ありません。マイホームを住み心地よく保ちたいという思いは、どの年齢、どの世代でも同じだからです。

 

高齢者や障害者がいらっしゃるご家庭では、廊下や階段に手すりを付けたり、玄関の段差をなくしたりといったバリアフリーの需要があります。若い世代では、子どもが生まれたから部屋を増築したいとか、壁を防音にしたいなどの要望があります。あるいは、親子で二世帯住宅への建替えを考えるといったケースもあります。性別も関係ありませんから、まさに老若男女にとって必要なビジネスです。

 

ちなみに、『まごの手宅配便』の利用者の7割は60歳以上の方々ですが、3割は若い世代です。中には、「近所に両親が住んでいるから、そっちをお願い」と頼まれることもあります。遠い将来まで会社の存続を願うのであれば、若い世代への訴求は絶対条件です。

 

現在、私どもでは、この若い子育て世代の方向けの新たなサービスを検討しています。具体的には明かせませんが、共働きで、平日なかなかお子さんに十分な時間をかけられない方へのサービスです。

 

ご家庭のお子様と、地域でまだまだ世の中の役に立ちたいと働く意欲の高いお年寄りとをマッチングさせ、家庭教師でもベビーシッターでもない、あらたな企画を検討中です。

本連載は、2016年10月28日刊行の書籍『見込みゼロ客をヘビーリピーターに変えるスゴい営業の仕組み』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

見込みゼロ客を ヘビーリピーターに変える スゴい営業の仕組み

見込みゼロ客を ヘビーリピーターに変える スゴい営業の仕組み

武蔵原 一人

幻冬舎メディアコンサルティング

「受注が取れない」「売上も伸びない」「営業マンは辞めていくばかり」――負のサイクルを断ち切り、激化する顧客争奪戦を勝ち抜くカギとなる「見込みのない顧客をリピーターに変える仕組み」づくりを3ステップで徹底解説しま…

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